2011年05月20日

咳の鑑別11・胸部レントゲン写真で異常がない慢性の咳・薬剤性の咳嗽

薬剤を使用したことで咳が出るケースで、大変注意が必要なのは、なんといっても薬剤性肺障害ですが、その場合には胸部レントゲン写真で異常が発見できるケースが多いため、ここでは取り上げません。


そうではなくて、単に咳が出る、という場合、原因薬の代表は

ACE阻害薬

です。

ACE阻害薬は降圧薬、あるいは心、腎などの臓器保護を目的に良く用いられます。最近では、ARBにそのお株を奪われて、新規に使われることも少なくなってきているようですが、まだまだ以前からの継続で、使われているケースも見られます。


ACE阻害薬はブラジキニンやサブスタンスPといった咳関連物質の濃度を上昇させることで直接咳受容体の刺激につながる、という機序で咳が出るため、極めて頑固な、鎮咳薬の効果が見られない咳が続きます。
あまりにもずっと続くため、あきらめておられる患者さんも少なくなかったりします。


これは、詳細な病歴聴取により、ACE阻害薬服用を確認、中止することですぐに(1週間以内に)咳が消失しますので、問診の重要性をあらためて強調しておきます。


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posted by 長尾大志 at 12:04 | Comment(0) | 咳の鑑別
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