2011年06月07日

真菌症のちょっとしたこと6・アスペルギローマと、アスペルギローシス(と、ABPA)の違い2・アスペルギローシス

アスペルギローシスは深在性のアスペルギルス症で、侵襲性アスペルギルス症と呼ばれます。全身的に免疫力が低下した状態で、肺や他の臓器の中に直接菌糸が入り込んできます。


免疫力が低下した状態、というのは、以下のような場合。

  • 好中球減少

  • ステロイド大量長期投与

  • 免疫抑制薬投与

  • 既存の肺病変

  • 低栄養

  • 糖尿病

  • ADL低下



一般的にT細胞の働きが弱っている場面で起こりがちです。
冒される臓器は、まず進入する肺から、血行性に全身に及びます。


好中球減少患者さんの病変部では血栓や梗塞を作り、それによる出血や浮腫を反映したhalo signが見られ、特異的所見といわれています。

また、好中球の回復とともに、好中球が壊死組織を処理して病変部に空洞ができ、 air-crecsent sign が見られます。



侵襲性アスペルギルス症は免疫能が落ちた方に起こるため、気管支鏡など、検査が困難であることも多く、生前!診断がつきにくい疾患であります(剖検で診断されることが多いわけですね…)。


幸いボリコナゾールやL-AMBなど、強力な治療薬が使えるようになっていますから、疑わしい症例には逡巡することなく、治療をはじめるべきです。



アスペルギローマと侵襲性アスペルギルス症の間のような、慢性壊死性肺アスペルギルス症という病態もあります。これは侵襲性アスペルギルス症ほどではない、軽度の免疫低下がある患者さんに起こるものです。アスペルギローマとは異なり、肺実質に浸潤していきますが、進行は比較的ゆっくりです。


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posted by 長尾大志 at 19:01 | Comment(0) | 真菌症のちょっとしたこと
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