2011年06月09日

真菌症のちょっとしたこと8・クリプトコッカス感染症と接合菌症

この辺まで来ると、かなりレア感が漂い、もはや「ちょっとしたこと」ではないような気もしますが。


知っておいた方がいいポイントを箇条書きにします。


■クリプトコッカスの肺感染症は健常者にも無症状の結節を作ります。肺病変が生じること自体はまれですが、中枢神経系への親和性が高く、しばしば脳や髄膜に移行し、髄膜炎などの原因となるため、肺病変を診断した場合でも髄液検査が必要です。


■クリプトコッカスと接合菌症、いずれも深在性真菌症であってもβ-D-グルカン値の上昇は見られません。
血清クリプトコッカス抗原は測定可能で、ある程度以上の大きさ(2cm以上)の場合に陽性となりますが、小さい病変の場合には気管支鏡による生検でもアプローチが難しく、診断確定が難しいことがあります。


■治療では、一般的に「真菌症」によく使われるMCFG(ミカファンギン=ファンガード)は全くクリプトコッカスに効きませんので、注意が必要です。


■接合菌はムーコル(ムコール)をはじめとする菌類の総称で、生前診断は極めて難しく、かつ治療薬もほとんどない、大変難しい菌です。治療で効果がありそうなのはL-APB(アムビゾーム)のみでしょう。


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posted by 長尾大志 at 09:35 | Comment(0) | 真菌症のちょっとしたこと
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