2011年06月10日

真菌症のちょっとしたこと9・治療薬のこと

このブログでは、あまり特定の薬剤について云々することはしないようにしています(どれかだけをほめるとか、けなすとか…特定の製薬会社さんに偏らないようにしたいので)。


ただ、抗真菌薬については、数も少なく、特徴もハッキリしているので、少し私の印象というものを申し上げておきます。


■ファンガード(ミカファンギン MCFG)

よく使われているように思いますが、その主な理由が、副作用が少なく、併用注意もない、つまり、何も考えなくても安全に使えるからではないかと思います。

特に専門外の先生にとっては、何も考えずに使えるというのはポイントが高いため、頻用される傾向にあります。

ただ、効果という点においては、カンジダにはいいが、カンジダ以外にはどうか、というところがあるため、カンジダ以外の起因菌が想定されるときにはお勧めできないように思います。



■プロジフ、ジフルカン(フルコナゾール F-FLCZ、FLCZ)

カンジダ、クリプトコッカスによく、髄液移行も良好です。予防投与を含め、よく使われていますが、アスペルギルスには無効です。



■ブイフェンド(ボリコナゾール VRCZ)

カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカスに効きますが、接合菌には効きません。何となくアムホテリシンBより安全そうなイメージと、発売時の「アムホテリシンBと同等以上」という謳い文句があり、アスペルギルスを疑う場合の第1選択になっています。



■アムビゾーム、ファンギゾン(アムホテリシンB L-AMB、AMPH)

接合菌までカバーするスペクトラムの広さと、殺菌力の強さ、それと引き替えの毒性の強さから、使用するには習熟が必要な薬剤でしたが、リポソーム製剤のL-AMBが出現してからはかなり使いやすくなったと思います。



■イトリゾール(イトラコナゾール ITCZ)

カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカスに効きます。当初カプセル剤しかなく、血中濃度が上がらず全然効かなかったことから、印象があまりよくないのですが、注射剤、内用液の登場で効果的には使いやすくなっています。しかし、併用注意が多かったりして、相変わらず「色々考えて使う必要がある」状況です。そのため人気がないのでしょうか。



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posted by 長尾大志 at 09:27 | Comment(0) | 真菌症のちょっとしたこと
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