2011年07月09日

理想的な総合内科学講座とは

先日、内科系の集まりで、東近江医療センターに赴任された先生方のお話を聞く機会がありました。
内科各科を代表する臨床家の先生方だけあって、大変熱いお話がいろいろ聞けました。


構想としては、大学と連携を取り、小規模で小回りのきく「総合内科」医局に各々の専門家を派遣し、そこに研修医を配属、総合内科医として育成しようというものです。


最近いくつかの施設で行われている、例のやつですね。
これはうまくいけば非常に優秀な、総合力を持った若手を育成できる可能性を秘めていると考えます。是非頑張っていただきたいものです。



やはりローテーター、若い間に総合力を付けておくことはこれからの(これまでも、そうでしたが)医師にとっては非常に大事なことであろうと思います。優秀な学生さんほど、そういうところを目指されるのではないでしょうか。


いろいろな事例を耳にして、またこれまでの個人的な経験から、理想的な総合内科学講座のイメージというものがあります。

理想的な規模というのはよくわかりませんが、おそらくそれほど大規模ではない「総合内科」に、シニア、ジュニアレジデントが配属。その上に、直接の指導医として、総合内科医(ココが肝腎)が数名。そして、各分野のエキスパート(専門医)が控えている、という図です。


救急、初診は総合診療科が担当。診断が固まった時点で、専門医コンサルト。専門的なフォローを必要とする患者さんは専門医外来へ。そうでない患者さんは自分たちでフォローします。適宜フォロー中も専門的なコンサルトを行い、問題を解決します。


入院が必要な患者さんは初診を担当した医師が担当となります。カテーテルや内視鏡など、専門的手技は専門医と担当医で協力してあたります。投薬や治療方針は専門医と相談して決定します。それ以外の全身管理、水、電解質、栄養、輸液などはシニアや指導医(総合内科)と相談して診療を行っていきます。


また、マイナー系といわれる、耳、鼻、喉、眼、皮膚も、患者さんのトラブルがあるごとに専門医とともに所見を取り、問題解決にあたります。


こういう初期研修を2年行えば、得るものは大きいでしょう。
ただ、このような理想的な運営をされているところは、今の日本では残念ながら極めて少数です。



こういう体制を整えるためには、以下のような条件が必要です。

・まずはトップが明快なビジョンと強いリーダーシップを持つこと
 各科のワガママをいちいち聞いていては、方向性が散漫になります。


・優秀な専門医が各分野にいること
 内科各分野(循環器数名、呼吸器、消化器数名、できれば血液、腎臓、膠原病、内分泌代謝、神経)、外科各分野(胸部、腹部、できれば心血管系、整形)、泌尿器、婦人(できれば産科も)、耳鼻、眼、皮膚、救急集中、とか言ってると、結構な人数になりますね…。


・そして、何より、総合臨床家として若手の指導できる、人間的に魅力的で情熱のある指導医が数名いること。
 これがハードル高いかも、です。



本当は大学でこういう体制ができればいいのですが、なかなかしがらみが多くて難しいようです。それでもうちの大学は、どこかの大学とは違って、臨床志向の専門医が多いですから、今のローテートのやり方でもずいぶんいいと思います。迷っている諸君は大学で研修しましょう!

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