このシステムもすごく理にかなっています。
結節や腫瘤内に空洞ができるためには、2つの条件があります。
1つは、結節内部が壊死すること。
そして、もう1つは、その壊死した組織が排出されるルートがあること。
具体的には、気管支と結節内部が交通を持つことで、壊死組織が気管支を通じて流れ出します。

この2条件を満たす病変はそんなに多くありません。
まずは扁平上皮癌と… そして、結核、非結核性抗酸菌です。
扁平上皮癌はいいですね。
癌ですから壊死を起こしますし、扁平上皮というのは気管支の上皮ですから、そもそも気管支内に病変があります。従って、容易に空洞を形成します。
結核はどうでしょうか。
病変自体が乾酪壊死という、壊死巣を容易に形成する性質があります。そして、結核の主な病巣は気管支に生じます。従って、こちらも容易に空洞を形成します。
この「空洞形成」実は結核菌の増殖に関して、大変重要な意味を持っています。
長い長い結核の話を最初から読む
まれなものでいうと、Wegener肉芽腫症、アスペルギルスなんかでも空洞がみられます。アスペルギルスは若干機序の違うところがありますが…。
教科書的に「空洞」というところでは、この辺を押さえておかれるといいでしょう。
申し訳ないですがもう一つ質問よろしいですか?
結核菌がくしゃみなどでとびでて、床に落ちた時点で感染力はほぼなくなっているといわれますよね。しかし、それが乾燥して飛沫核となりまき上がったものを吸い込むと感染する・・・?
ってことは掃除が苦手で洗濯物やらなんやらを放置してしまうグウタラさんの場合とくに、そういったものから感染することもあるのでは・・・と、結構前から疑問に思っています。
実際私達の白衣やらで感染仲介したこともないですが・・・
その場合も治療が必要になるのですか?
本当にお忙しいのに何度もすいません;
死菌には感染力がないため、吸い込んでも何も起こらない、というのが定説です。
塗抹陽性というのは、痰の中に抗酸性物質が見えるということで、イコール感染でも、発症でもありません。
http://tnagao.sblo.jp/article/47239598.html
をご覧ください。
レントゲンで疑わしい陰影があって、塗抹陽性となりますと、発症が疑われます。
じゃあその人がどうやって感染したの?ということですが、おそらく空中に浮かんでいる飛沫核が地面に落ちないうちに(結構長時間浮かんでいるのです!)吸い込んだから、と考えられます。
治療が必要なのは、明らかな最近の感染と発病の場合です。
http://tnagao.sblo.jp/article/47392268.html
ご理解いただけたでしょうか。
「床に落ちた乾いた結核菌がまきあがり吸い込んでうつることがある」といわれてるのが間違いということですか・・・?
菌が結構長く浮いてる・・・
数秒で落下するものとおもってました・・・
それともう一つ、太陽のひかりをあびた結核菌の寿命はどのくらいなんでしょうか。ドラキュラのように瞬殺されてしまうものですか?
瞬殺だとしたら…お天気のいい日に人気のいない所をお散歩させてあげたいなと思うんです。うちの病院はアメニティがかなりお粗末で、治療終了まで窓も開けられない病室で隔離されている患者さんがかわいそすぎて…(ノω・、)
いずれにしても、隔離されている患者さんにとって、お天気のいい日のお散歩は勧められます。ぜひお願いします。