2011年07月28日

長い長い結核の話7・結核菌の基礎事項

長いイントロ(たとえ話)から、以下のようなことがおわかりいただけたかと思います。

おさらいをしておきましょう。


結核菌が体内に入ると、通常の免疫力があるヒトの場合、「感染」が成立する。「感染」状態では他人にうつすことはない。


免疫力が低下するような状況になると、「発病」する。
「発病」すると感染力を持つ。


免疫力が低下するような状況

  • 糖尿病

  • 胃切後

  • 担癌状態

  • ステロイド使用

  • 透析中

  • HIV感染

  • 不規則な生活

  • 偏食・栄養障害・やせ

  • 喫煙・飲酒



ただし、皆が皆、発病するわけではありません。
だいたい感染者の10%、1割が発病するといわれています。


発病すると、結核菌は増殖し、病変を作る。病変は乾酪壊死巣を形成し、気管支内から壊死物質が流出することで空洞を形成する。


空洞を形成すると一気に菌量が爆発的に(1,000倍)増加し、痰にのってどんどん喀出され、新天地を求めて外界へ飛び出します。


しかし感染も、かなり率としてはよくありません。
患者さんの同居家族で25〜50%、
親戚や親友、つまり時々会って顔を近づけて話す人で2.5〜5%
同僚、友人など、会ったときにも距離のある人で0.25〜0.5%の割合で感染するとされています。


つまり感染率自体、それほど高いものではありません。飛び出す飛沫核も、ほとんどが死にゆく運命にある決死隊、という感じなのです。


仮に地球が住めなくなったら、人類はよっぽど心して移住計画を立てないと、種の保存は叶わない、ということだと思います。


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posted by 長尾大志 at 10:44 | Comment(0) | 長い長い結核の話
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