2011年08月05日

長い長い結核の話13・結核を周りの人にどの程度うつすかの目安

結核の感染率は昨日も書きましたが、

  • 患者さんの同居家族:25〜50%

  • 親戚や親友、つまり時々会って顔を近づけて話す人で2.5〜5%

  • 同僚、友人など、会ったときにも距離のある人で0.25〜0.5%


程度の割合とされています。



感染のしやすさは、

・ばらまかれる菌の数が多い
・感染源(患者さん)から出た飛沫を多く吸い込む

ほど高くなります。


つまり、痰の中に含まれている結核菌の数が多いほど・また接触時間が長く接触時の患者さんとの距離が近いほど、感染の危険性は高くなるのです。



これらの指標を数字で表してみると、「どの程度」感染していそうか、の目安になります。


感染源としてのリスクは、痰の中にどの程度菌が含まれるかで、以下のような目安があります。


塗抹・培養陽性 10
塗抹陰性・培養陽性 2
塗抹・培養陰性 1


つまり、塗抹・培養陽性の場合、いずれも陰性の場合に比べて10倍感染しやすいということです。ですから、痰の検査で塗抹陽性の場合は入院が必要というわけです。



周りの人にどれだけうつしているであろうか、という観点からは、感染危険度指数というものがあります。


これは、ガフキー号数×咳をしていた月数のかけ算で、


0:その他
1−9:重要
10以上:最重要


となっています。


つまり、ガフキー0号では危険度は無視できるが、ガフキー10号の人が1ヶ月間咳をしているともうそれは周りにうつっている可能性大ということ。


ガフキー2号でも、5ヶ月間咳をしていれば(診断されていなければ)、周りにうつっている可能性は大きいということになります。



感染を防ぐもっとも確実な方法は、「近づかない=隔離」ことですから、痰の塗抹陽性の場合は、周りの人にこれ以上うつさないため、入院が必要ということです。


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posted by 長尾大志 at 09:21 | Comment(0) | 長い長い結核の話
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