A法(普通はこちら)
INH, RFP, SM (orEB), PZAの4剤をを2ヶ月間投与、
その後、 INH, RFPの2剤を4ヶ月間投与、計6ヶ月間で治療を終了する。
B法
非代償性肝硬変、AST、ALTが基準値の3倍以上で経過する慢性C型肝炎、高齢(80歳以上)、などで、薬剤性肝障害を合併したときに重篤化が予想される場合にはPZAを使わないでおくため、3剤併用からスタートします。
INH, RFP, SM (orEB)の3剤を2ヶ月間投与、
その後、 INH, RFPの2剤を7ヶ月間投与、計9ヶ月間で治療を終了する。
要するにあくまで、結核をきっちり治すためのスタンダードは当初4剤併用6ヶ月で、最初の治療に4剤使えない場合には、3ヶ月間長めに治療することでそれを補おうという考え方なのです。
それ以外に、以下のようなケースではA法、B法いずれの場合でもさらに3ヶ月間治療を追加します。
- 広範な空洞を有して菌量が極端に多いと思われる例
- 粟粒結核などの重症例
- 初期2ヶ月の治療終了後も培養陽性である例
- 糖尿病、じん肺など、免疫抑制を来す疾患の合併例
- ステロイドなど、免疫抑制治療中の例
最初だけ4剤で、あとになると2剤でいいのはなぜか?
それはもう、治療開始時の菌量が多いから。
2ヶ月間4剤投与すれば、ぐんぐん菌は減って、その後は2剤で事足りるというわけです。
最初の2ヶ月は、初期の急性炎症であり、病変部は酸性の組織です。で、PZAという薬は酸性組織下の菌にのみ効果があるという特異性があり、治療開始して3ヶ月も経てば組織は中性〜アルカリ性となるため、もはやPZAは効果を発揮しないという面もあります。
ですから、特にPZAは初期のみの併用薬として使われるわけです。
また、治療は何よりもコンプライアンスといいますか、ちゃんと治療終了まで薬を飲む、ということが重要ですので、原則として1日1回投与になっています。
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