非結核性抗酸菌症の代表、というか、代名詞のような存在がMAC症です。非結核性抗酸菌症の8割を占める菌です。
MAC:Mycobacterium avium complex
Mycobacterium aviumとMycobacterium intracellulareの総称です。この2菌種はいろいろな意味で似通っていて、厳密に分別する必要があまりないことから、ひとまとめにしてMACと呼ばれているのです。
だいたいavium(アビウム)が70%、がintracellulare (イントラセルラーレ)が30%を占めるといわれていて、細かくいうとaviumの方が、少したちが悪いようです。
感染症としてのMAC症の病型は以下の2つがありますが、厳密に分類しにくいケースや、途中で移行する(ように見える)ケースもあります。
結節・気管支拡張型
全体の8割。ゆっくり進行、あるいは自然(治療により)治癒もある。
空洞・破壊型
喫煙男性に多く、1-2年で進行し予後不良。
いずれにしても、特効薬というべき薬剤はないため、発病してしまったものを治癒に持って行くのはけっこう困難を伴うこともあります。
喀痰塗抹陽性で、PCRでMAC陽性であった患者さんが、「結核じゃなくてよかった〜」と言われることが多いのですが、本当によかったのかどうかは、その後の経過を見てみないとわからないのです。
非結核性抗酸菌症の8割はMAC症で、残りのうち約1割を占めるのがM.kansasii(カンサシ)症です。こちらは教科書的には薄壁空洞が特徴、とされていて、抗結核薬であるINH、RFP、EBの効果が確認されています。ですから、MAC症よりも治療しやすい菌である、といえます。
あ、ちなみに、気づかれた方もおられるかもしれませんが、菌名を書くときは斜体で標記するのが常識です。電子カルテ上でも斜体にしておけば、上の先生から「キミ、わかってるね!」とほめられること請け合いです。
それほど長くない非結核性抗酸菌症の話を最初から読む
2011年08月30日
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