2011年09月15日

何気なく投与している酸素についてちゃんと考える9・リザーバーマスクの理屈

壁から流れる酸素を吸っていては、どう逆立ちしてもFIO2はせいぜい60%にしかならない、それ以上吸うにはどうするか。


酸素スライド9.JPG


これは、「ためておいた酸素を、吸気にあわせて放出する」しかありません。

酸素をためておく場所=リザーバー、でしたね。

鼻カニュラの場合、鼻腔が解剖学的リザーバーになるのですが、その容量はたかだか50ml程度。マスクでも150mlぐらいのものです。ですから、FIO2もさほど上がりません。


それが、マスクとチューブとの間に袋(リザーバー)を挿入すると、吸気時にはそれまでに袋にためてあった酸素を吸い込むことになり、FIO2が上昇するという寸法なのです。


酸素スライド10.JPG


とはいえ、なかなかFIO2は上がらない、というのが実際のところです。

それ以上必要となってくると、酸素を機械的に圧縮して高流量を送り込む、人工呼吸器の出番です。


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この記事へのコメント
リザーバーマスクを使用してもなかなかFiO2が上がらないのが実情ということですが、リザーバーマスクの構造に少し問題があるように思います。現在よく使われているリザーバーマスクは、酸素を貯めるバッグと患者さんの顔との間に酸素のチューブが接続されていますが、これだとバッグ内に酸素と患者さんの呼気とが競合して取り込まれることになり、効率がよくありません。
酸素のチューブを患者さんの顔から遠い、バッグの底の部分に取り付ければ、患者さんの吸気、呼気に関係なく常に高濃度の酸素がバッグ内に貯留するので、より高い酸素を含んだ空気を吸うことになり、FiO2の上昇にもつながると思います。
柔らかくて常に伸縮するバッグの底に酸素のチューブを接続するのは技術がいると思いますが、そのようなリザーバーマスクはないでしょうか?
Posted by 本田 学 at 2012年07月16日 13:16
少なくとも自分が勤めた施設では見たことがありません。

先日記事で少し書いた「ネーザルハイフロー」はこのような悩みを解消する優れもの、のような気がしています。

もう少し実際に使ってみて、使用感をレポートしたいと思います。
Posted by 長尾 大志 at 2012年07月16日 19:58
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