2011年11月23日

QFTがらみでもう1例

とあるところでコンサルトを受けた症例です。個人情報の点で少し改変しています。


「20歳代女性、Sjogren症候群の患者さんですが、入院中にQFT検査すると陽性でした。肺結核でしょうか。ご教授ください」


この対診依頼の書き方もなかなかですが、それはさておき。


そもそも1週間程度続く急性発症の発熱と頸部の表在リンパ節腫脹を主訴に来院されました。実習で老人介護施設に行っていたそうです。入院後皮疹、関節痛が生じてきました


WBC 6,000程度で、CRP7程度の炎症所見がありました。全身状態は比較的良好で、急性の症状と多彩な症候からウイルス感染を疑われたようなのですが…。


なぜか、QFTをとられていました。
胸部X線写真では異常なし。喀痰塗抹陰性。


検査の目的がわかりません。「不明熱」だから?しかも、陽性だったらどうするのか、ビジョンなし。


さらに、入院時にいろいろ抗体検査をされていて、「SS-B陽性」という結果。
それからついた病名が「Sjogren症候群」。


いやいやいやいや……乾燥症状は??

とかいっているうちに、突然「腎盂腎炎」という診断がついて、CTRX開始となりました。どうやら検尿で何か出たらしい。



とりあえずいろいろ検査をオーダーし、出た結果で右往左往。
苦笑いするしかありません。最初の「ウイルス感染」はどこへ行ったのでしょう。




原則を確認しておきますが、検査というのは、症状、症候などから疑われる疾患を確定するために行うものです。検査を行う前に、その結果陽性だったらどうするか、陰性だったらどうするかということが見通せていない検査はすべきではありません。検査結果によって鑑別診断が増える、というのはおかしい。言うてる意味わかりますか?

○乾燥症状があって、シルマーテスト、ガムテスト陽性で、SS-Bをとるんです。
○腎盂腎炎を疑う症状があったらすぐに検尿。
○肺に陰影があったら喀痰検査。

これが本来の流れなのです。


順番がすごすぎて、どう申し上げていいかわからず、「肺結核ではありません」とだけコメントいたしました…。

こういう教育を受けた研修医諸君の行く末が案じられます…。



このような「やっている医療の質」みたいなものは、外から見てもなかなかわかりにくいものです。

学生さんが研修病院を選ぶときも「救急○○例!」とか、「手術件数○○例!」みたいな、数に引きずられて選んだりしがちなわけです。


以前にも書きましたが、ブランド、見た目にとらわれずに、物事の「本質」を見る目を養いたいものですね。


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posted by 長尾大志 at 15:21 | Comment(0) | 長い長い結核の話
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