2011年11月25日

今日の症例・喘息治療と妊娠・出産・授乳2

海外データの豊富なブデソニド(パルミコート)だけがFDAカテゴリーB(妊婦さんに使ってもまず安全)に入っているわけですが、じゃあ、他の吸入ステロイドや合剤はダメなのか?


どの薬にも、例の使用上の注意、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること」が、必ず書いてあります。

つまり、自信を持って有益性が危険性を上回ると言い切れない薬は使うべきではない、まあ当たり前のことですが、ちゃんと言い切れますか?ということです。


喘息治療における有益性と危険性を考えてみましょう。



<有益性>

喘息の場合、治療上の有益性とは、喘息の症状が胎児に与える影響を減らすことです。


強い喘息発作が起こると、母体が酸素をうまく取り込めず低酸素血症になります。そうなると、胎児低酸素血症になり、発育不良その他の問題を起こします。


また、コントロールがきちんと出来ていない場合、ストレスの多い出産時に強い発作が起こることがあります。そうなると、母体、児の両方にとって極端な場合、命の危険もあるのです。


これらの問題を回避することは、言うまでもなく有益なことといえるでしょう。



<危険性>

危険性とは、薬によって胎児が悪影響を受けることです。

いろいろな統計を確認しましたが、吸入ステロイドや気管支拡張薬の通常量の使用では、催奇性を含めて問題は報告されていません。吸入薬は、吸収されて全身に巡る量は極めて少ないので安心と言われていますし、実際問題があった事例の経験も見聞しておりません。


もちろん薬は薬なので100%の安全を保証するものではありません。
信頼できる呼吸器科の医師の判断で使用し、喘息のコントロールを行うべきだということです。



現在の考え方では、喘息発作の症状がある妊婦さんが、症状をコントロールできるだけの吸入ステロイド、および吸入の気管支拡張薬を使用することは、

「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される」

ことがほとんどです。
もちろん主治医の管理、指導の元で使用する上での話です。


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posted by 長尾大志 at 09:14 | Comment(0) | web喘息講座
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