肺胞にきちんと酸素が入っているのに、動脈血に酸素が入らない状態。
PAO2がPaO2に反映されない状態。
これを、A-aDO2が開大する状況といいます。
どういうときにそうなるか。
ここの説明で、VAだのQだの不均等だのシャントだの、訳のわからない用語が山ほど出てきて混乱に陥り、呼吸器が嫌いになる…というのがおきまりのパターン。
皆さんが呼吸器嫌いにならないように(笑)なんとか理解してもらえるよう、できるだけのことをしてみたいと思います。
基本的には、A-aDO2が開大する、つまり、肺胞には酸素が入っているのに、動脈血に酸素が行かない状態になるのは、
■ 換気がうまくいっていないところがある
または、
■ 換気はうまくいっているんだけれども、血流に問題がある
か、のどちらかです。
これはわかりますね。
■ 換気がうまくいっていないところがある
とはどういうことか。
肺胞がつぶれるような病気では、病変部の肺胞がつぶれたり、水浸しになったりします。すると、その部分は換気がなくなるものの、血流はそのままです
一方健常な部分はそのまま。病変部の分も空気が入ってくることもありますが、酸素の割合が増えるわけではなく、健常部でのガス交換はこれまで通りです。
T型呼吸不全.pdf
の図の通り、PaO2が低下し、低酸素血症になります。
■ 換気はうまくいっているんだけれども、血流に問題がある
とはどういうことか。
肺胞はそのまま、肺胞に入ってくる空気や酸素もそのまま。だけどそこの血流がない、そんな状態では、病変部ではガス交換ができません。

の図の通り、健常部でのガス交換がこれまで通りであっても、PaO2は低下し、低酸素血症になります。
明日以降はこれらの事項について、一つ一つ詳しく見ていきます。
A-aDO2のややこしい話を最初から読む
本記事に「A-aDO2が開大する状況とは、肺胞にきちんと酸素が入っているのに、動脈血に酸素が入らない状態。その原因のひとつとして、換気がうまくいっていないところがある。肺胞がつぶれるような病気では、病変部の肺胞がつぶれたり、水浸しになったりします。すると、その部分は換気がなくなる。」とあります。
もし、肺胞がつぶれて換気がうまくいかなくなれば、肺胞に酸素が行かなくなり、肺胞気酸素分圧(PAO2)が低下するために、A-aDO2は開大しないような気がします。
恐らく、肺胞がつぶれて換気がうまくいかなくなっても、実際はPAO2が低下しないために、A-aDO2が開大するのではと思いますが、そのメカニズムはどのようなものなのでしょうか?
ご教授して頂けると、大変うれしく思います。
実際の肺では肺胞が3億もありまして、各々いろいろな状況にあるわけです。キッチリあいているものもあれば、つぶれているものもある…全てがつぶれては生きていけません。病気になるといくらかの肺胞がつぶれまして、そこには空気が入らないということであれば、その場所のPAO2を考える必要はないということになりまして、PAO2はあいている肺胞において考える、ということにしているのです。
「PAO2は開いている肺胞のみで考えること」大変勉強になりました。今後の紹介記事も楽しみにしております。