2011年12月09日

低酸素血症の鑑別3・A-aDO2が開大する状況・換気がうまくいっていないところがある:換気血流不均等とは

昨日の続き。


換気がうまくいかないとはどういうことでしょうか。
たとえば肺炎。


肺胞内で肺炎球菌が暴れ、好中球が動員され、肺胞内が水浸しになる。


肺炎肺モデル.jpg


すると、T型呼吸不全のところで触れたように、病変部の肺胞は換気しなくなります。


すると、その部分は換気がなくなるものの、血流はそのままです

一方健常な部分はそのまま。病変部の分も空気が入ってくることもありますが、酸素の割合が増えるわけではなく、健常部でのガス交換はこれまで通りです。


その現象を肺全体で見ますと…。


肺胞を流れる「血流」に対して、空気を取り込む「換気」が足りない、という事態になります。換気と血流がきっちり対応していない。換気と血流が均等に接していない…不均等!
そう、


換気血流不均等


のことです。不均等ってなんだか意味不明で、英語のmismatch(ミスマッチ=ちゃんと合っていない)の方がしっくり来るような気がしますが。日本語で言うと、不整合とか、そういう感じですかね。




逆に、換気はうまくいっているんだけれども、血流に問題があるとはどういうことでしょうか。


肺胞はそのまま、肺胞に入ってくる空気や酸素もそのまま。だけどそこの血流がない、そんな状態では、病変部ではガス交換ができません。


血流がない場合.jpg


の図の通り、健常部でのガス交換がこれまで通りであっても、PaO2は低下し、低酸素血症になります、と。


実は、この場合も換気と血流はミスマッチになるので、やはり


換気血流不均等(ミスマッチ)


なんですね。


いやいや、本を見たらなんかいろんな用語がありまっせ、シャントとか、拡散障害とか肺胞低換気とか。ああ、もう混乱してきた…(読者の心の声)。


あわてない、あわてない。

確かに、用語がいっぱいで、しかも、教科書や文献によって、分類が微妙に違ったりします。でも、本質的には同じことに対して、違う言い方をしているに過ぎません。本質を理解すれば、「ああ、こういう分け方をしているのね」で済みます。


ともかく、低酸素になる原因のほとんどは、換気血流不均等(ミスマッチ)である(あ、それで、換気はVで、血流はQで表されますので、VQミスマッチと言ったりもします)。


今日はこいつ、ことの本質を理解しましょう。


A-aDO2のややこしい話を最初から読む

トップページへ

posted by 長尾大志 at 10:58 | Comment(2) | A-aDO2のややこしい話
この記事へのコメント
国試直前の医大生です。

いつもこのサイトで呼吸器の勉強をさせていただいております。
お忙しいところ恐縮なのですが,1つ質問させてください。

第109回国試のH38についてです。
睡眠時無呼吸症の患者さんで,低酸素血症の原因を問う問題なんですが,選択肢のdとeがよく分からないのです。(d.肺胞低換気 e.換気血流比不均等)

睡眠時無呼吸ですから,dの肺胞低換気というのは当たり前なのですが,そうであれば単位時間当たりの肺胞換気量VAは低下するはずです。
肺血流自体は正常ですから,この場合,肺胞血流比 VA/Q が低下するので,eの換気血流比不均等も間違いではないと思うのです。

つまり,換気血流比不均等という概念の中に肺胞低換気も含まれると思うのですが,この考え方はおかしいのでしょうか?
Posted by 大内成浩 at 2016年01月18日 14:32
国試勉強お疲れ様です。

換気血流不均衡の定義が「『ちゃんと換気しているのに』肺胞におけるガス交換と血流がマッチしていない」こと、それに対して
肺胞低換気は「そもそもちゃんと換気していない」ことを指すので、含まれてないです。そう決まっている、と思って頂くしかないですねー。
Posted by 長尾 大志 at 2016年01月20日 18:40
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。