換気か、血流か、どっちかがアカンようになって、どっちかがそのままだと、ミスマッチが起こってA-aDO2が低下する、これぞ換気血流不均等(VQミスマッチ)。
換気血流不均等(VQミスマッチ)はいろいろな割合で起こってくるのですが、
V(換気)が全くなくてQ(血流)だけが保たれている場所、あるいはその状態を、特にシャントといいます。
なので、シャントは換気血流不均等(VQミスマッチ)の一部です。
教科書によって、分けて書いてあったり、中に含めていたり、疾患によってどっちにも入っていたり、ややこしいことこの上ないのですが、要するに、
シャントは換気血流不均等(VQミスマッチ)のうち、V(換気)が全くなくてQ(血流)だけが保たれている場所、あるいはその状態のことをいいます。
こう理解すると、すっきりしますね。ああすっきりした。
本来、シャント(shunt)とは替えるとか転じるとか迂回する、という意味で、医学用語になると短絡とか吻合という和訳がつきます(廣川ドーランド図説医学大辞典による)。
つまり、動脈と静脈が、毛細血管を経ずに直接つながった状態、これが本来の意味になります。それが転じて、心奇形などで動脈血と静脈血が短絡する状態も右左シャント、と呼ばれています。
ですから本来の意味のシャントは肺動静脈瘻ということになります。あれは、動脈と静脈が、毛細血管をパスして直接くっついている、ということで、そこの血流に対する換気が0ゼロの状態です。
それが転じて、毛細血管があるのに全く換気がない状態(の場所)も、シャントと呼ぶわけで、これが混乱の元となっています。
たとえば、肺炎や肺水腫で肺胞内が水浸しになっていて、全く換気がないと、そういう場所をシャントと呼んでみたり、無気肺で換気がなくなり、血流だけになったところをシャントと呼んでみたりするわけです。
教科書によっては、本来のシャント、肺動静脈瘻だけをシャントと呼んでいたり、心奇形による心内シャントも含めてみたり、肺炎とかも(広義の)シャントにしてみたり、まあそれはまちまちです。混乱するのももっともですが…。
何となく、最近の趨勢では、最初に書いたように、V(換気)が全くなくてQ(血流)だけが保たれている場所、あるいはその状態のことをシャントという感じになっていますので、そう理解しておいてください。
原則、本質をつかんでおかれると、混乱が防げると思います。
A-aDO2のややこしい話を最初から読む
2011年12月13日
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