どのような物事でも、学びの基本というものはあります。
「守」「破」「離」というのは、昔からいわれていることですが、やはり初期研修においても同じことがいえるのです。
「守」これは、まずは先達、先輩のやっている「型」を身につけること。
まずは上級医のやり方、処方の仕方、点滴オーダー、検査項目、レントゲン読影の所見…そのすべてを徹底的にまねることからはじめます。
たとえば患者さんやご家族への病状説明も、できるだけ同席して、話す内容、話し方やフレーズなどもまねをすると良いでしょう。
私が2年目の頃はそれが高じて、上級医のコピーのようになったり、物まね芸のようになったりすることもありましたが、まずはまっさらのフォーマットされたHDDに、OS(基本的考え方)をインストールしていく、と書くとわかりやすいでしょうか。
1−2年経って、ある程度基本的な型を身につけたら、次は「破」。
上級医の間でも少しずつ癖があり、たとえば抗生剤でも好き嫌いがあるものです。いろいろな上級医のやり方を見て、少しずつ最初のOSに自分流を加えていく、これが「破」の段階です。お話、病状説明のやり方も、自分の性格ややり方にあうものを少しずつ取り入れていく。
これができてくるのが3年目ぐらいからでしょうか。自分流でやったことがうまくいくとうれしいもので、どんどん臨床がおもしろくなってきます。仮にうまくいかなくても、そこから学ぶことでどんどん成長していける、そんな時期です。
そこを超え、4年目あたりになってくると、いよいよ「離」の段階です。これまでに学んださまざまな上級医流を消化し、オリジナルの「自分流」ができてくる時期。いよいよ、独り立ちの瞬間が近いわけです。
多くの研修医諸君はこういう流れで成長されていきます。ですので、私たちは、初期の1−2年、「守」の時期はなるべく多くの信頼できる上級医の元で学び、型を身につけ、「破」の時期を経て「離」の段階で独り立ちし、一人主治医、外来などを経験されるのがいいのではないかと思っています。カリキュラムもそういう具合に作っているのです。
大学病院みたいにスタッフが多いところでないと、ここまでのことはなかなかできないかもしれませんねー。
2012年01月04日
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