誤解を恐れずに極論しますと、これらのガイドラインは、患者さんの状態、発症の場によって「原因(分離)菌」が異なる、従って抗生剤を使い分ける必要がある、ということが柱としてありました。
肺内には、常在菌というべきものはほとんどいないわけですが、病原性を持つ菌で、肺が好きな菌というものはいるわけです。肺の環境を好み、かつ、エアロゾル・微少な飛沫として空中に浮かぶことができる(つまり肺に入る経路を持つ)菌、それが肺炎の原因菌になりうるわけです。
たとえば、他人の「咳」「痰」「しぶき」を吸い込むことで感染が成立するような菌は、人混みに出かけたり、咳をしている子供に接触するような、「市中での生活」で肺炎の原因になります。
- 肺炎球菌
- H.influenzae(インフルエンザ菌)
- マイコプラズマ
- クラミドフィラ・ウイルス(インフルエンザ、水痘他)
他に、クラミドフィラ・シッタシ(オウム病の原因)は鳥、レジオネラは水環境(24時間風呂、温泉etc…)を経て感染する。これらも、いわゆる「市中での生活」をしていないと感染機会はなさそうです。
市中肺炎の原因菌はこれらであることが多いため、エンピリック(経験的)治療はこれらをターゲットとして行います。ここで、肺炎球菌やH.influenzae(インフルエンザ菌)には通常ペニシリンなどのβラクタムを使いますが、マイコプラズマやクラミドフィラにはβラクタムが効かない。ということで、これらの鑑別が必要になるわけです。
詳しくは、肺炎ガイドラインを最初からお読みください。