2012年01月07日

医療・介護関連肺炎(NHCAP)ガイドライン2・これまでの肺炎ガイドライン・市中肺炎

これまで、肺炎のガイドラインとしては、市中肺炎(community acquired pneumonia:CAP)に対するものと、院内肺炎(hospital acquired pneumonia:HAP)に対するものがありました。


誤解を恐れずに極論しますと、これらのガイドラインは、患者さんの状態、発症の場によって「原因(分離)菌」が異なる、従って抗生剤を使い分ける必要がある、ということが柱としてありました。


肺内には、常在菌というべきものはほとんどいないわけですが、病原性を持つ菌で、肺が好きな菌というものはいるわけです。肺の環境を好み、かつ、エアロゾル・微少な飛沫として空中に浮かぶことができる(つまり肺に入る経路を持つ)菌、それが肺炎の原因菌になりうるわけです。



たとえば、他人の「咳」「痰」「しぶき」を吸い込むことで感染が成立するような菌は、人混みに出かけたり、咳をしている子供に接触するような、「市中での生活」で肺炎の原因になります。


  • 肺炎球菌

  • H.influenzae(インフルエンザ菌)

  • マイコプラズマ

  • クラミドフィラ・ウイルス(インフルエンザ、水痘他)



他に、クラミドフィラ・シッタシ(オウム病の原因)は鳥、レジオネラは水環境(24時間風呂、温泉etc…)を経て感染する。これらも、いわゆる「市中での生活」をしていないと感染機会はなさそうです。


市中肺炎の原因菌はこれらであることが多いため、エンピリック(経験的)治療はこれらをターゲットとして行います。ここで、肺炎球菌やH.influenzae(インフルエンザ菌)には通常ペニシリンなどのβラクタムを使いますが、マイコプラズマやクラミドフィラにはβラクタムが効かない。ということで、これらの鑑別が必要になるわけです。


詳しくは、肺炎ガイドラインを最初からお読みください。

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posted by 長尾大志 at 12:48 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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