たとえば、病院に入院していると、市中で生活しているときに肺に進入するような菌は感染機会がなく、元々院内に住んでいるような菌が原因菌になります。
やはりそれはグラム陰性桿菌が主体。特に、水周りなどには、それまでに入院していた肺炎患者さんが喀出したしぶきに含まれていた緑膿菌が住み着いているものです。
また、医療従事者の手にはMRSA がついていたりします。
そうすると、いきおい、そういった菌を原因菌として考えるのが妥当、ということになります。
(MRSA肺炎なんか無いって言うたやんけ、その通り。まだ議論のあるところで、想定はしておきましょう。でも、これまでに思っていたよりは少ないと考えられます)
また、抗菌薬を使っ(て「菌交代」を起こし)たかどうか、というのも原因菌、その治療に深く関与します。
たとえば3世代セフェムを使うと菌交代で緑膿菌が残ります。広域抗生剤の長期投与はMRSAのリスクになりますし、そもそも抗菌薬を使うと、大なり小なり耐性がついてくるものなのです。
院内肺炎の原因菌はこのようにグラム陰性桿菌・緑膿菌・MRSAをはじめとする耐性菌であることが多いため、エンピリック(経験的)治療はこれらをターゲットとして行います。
このようにして、発症の場別(想定される原因菌別)ガイドラインが制定されてきた経緯があるわけです。
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2012年01月08日
医療・介護関連肺炎(NHCAP)ガイドライン3・これまでの肺炎ガイドライン・院内肺炎
posted by 長尾大志 at 10:28
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