2012年01月11日

医療・介護関連肺炎(NHCAP)ガイドライン6・治療区分

それでは、いよいよガイドラインの概要を紹介します。


まず、治療区分を分けます。治療区分とは、要するにどこで治療をするか、ということ。

最初に「集中治療を必要とするか」を決めるのですが、医学的に重症かどうか、という点に加えて、ご本人が延命治療を望まれない由表明されているかどうか、などの要素も加味し、総合的に主治医が判断します。


集中治療を必要とする患者さんのグループをD群とします。
逆に、「もういいでしょう」となったら、D群には入れません。


次に入院適応を決めます。これは、 A-DROP(市中肺炎ガイドライン)などを参考に決めていきます。ちなみにA-DROPとは、


  • A:Age(年齢) 男性≧70歳、女性≧75歳

  • D:Dehydration(脱水) BUN≧21または脱水

  • R:Respiration(呼吸)SpO2≦90%

  • O:Orientation(意識障害)

  • P:Pressure(血圧) 収縮期≦90mmHg



という5つの項目で、1つ満たすごとに1点カウントし、


  • 0点:軽症→外来治療

  • 1-2点:中等症→外来、または入院治療

  • 3点以上:重症→入院治療

  • 4点以上→ICU 管理



のように判断します。


これで外来治療可となりますと、A群。


入院要、となった群のうち、耐性菌のリスクのありそうな


  • 過去90日以内に広域抗生剤が投与された

  • 経管栄養を施行している

  • 過去にMRSAが分離された(MRSAのリスク)



グループは、C群。

これらのリスクのない群をB群とします。


ちなみに耐性菌とは、緑膿菌・アシネトバクター・ESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生腸内細菌・MRSA・ステノトロフォモナスなどが想定されています。



まとめますと、

  • A群:外来治療可能

  • B群:入院治療・耐性菌リスクなし

  • C群:入院治療・耐性菌リスクあり

  • D群:入院・集中治療


となります。


肺炎ガイドラインを最初から読む

トップページへ

posted by 長尾大志 at 13:33 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。