具体的なターゲットはA群同様、肺炎球菌・インフルエンザ菌・MSSA・クレブシエラ・クラミドフィラ・ウイルスを想定します。
入院の場合は患者さんの状態の変化をすぐに察知することができるため、治療開始時から非定型菌をカバーするということはせず、A群よりむしろ細菌にターゲットを絞った選択になっています。また、当然、注射薬が主体です。選択薬は…
- SBT/ABPC注射薬
- CTRX注射薬
- PAPM/BP注射薬
- LVFX注射薬
となっています。選択されているのはペニシリン・3世代セフェム・カルベニン・クラビットの注射薬です。
ここで早速ペネムが登場しました。しかも、カルベニンと銘柄まで指定されています。そのこころは…。
やはり嫌気性菌対策なのです。このガイドラインの特徴というかなんというか、誤嚥がありそうな場合、嫌気性菌の関与が考えられる場合の抗菌薬選択を広くとっています。
以前書いたように、嫌気性菌に対して、クラビット(LVFX)は不適であり、ロセフィン(CTRX)も弱いときたもんです。
そこで出てくるのが、嫌気性菌に強いユナシンS(SBT/ABPC)かカルベニン(PAPM/BP)となるのです。
じゃあなぜ、ペネムの中でもカルベニンなのか。グラム陽性球菌、嫌気性菌に強いということもあるのですが、他のペネムと比較すると緑膿菌に対する効果が弱いため、ここで使うということになっています。
他のペネムは、緑膿菌の存在が予想されるC群、D群で使われます。
なんか、カルベニン救済的なニュアンスを感じなくもないですねー。
弱いとはいえ抗緑膿菌活性もあり、カルベニンとイミペネムの交差耐性も知られていることから、緑膿菌のいるところで使うと、「効かない上に耐性がつく」と、大変具合が悪いので、個人的にはほとんど使いません(言っちゃった…)。
肺炎ガイドラインを最初から読む
誤嚥性肺炎やNHCAPのB群でCMZがガイドラインにありません。個人的には使うし、当院ではSBT/ABPCよりもE.coliなどの感受性が良いのですが・・・。
海外でも日本のガイドラインでも見かけないですが・・・載らないのは何か理由があるんでしょうか。
CMZはどうも海外でのデータが少ないようですね…。ガイドラインに載ってないのはこれが大きいかもしれません。
腹部とかではよく使われていますし、個人的には肺炎にもよく使っていましたが…。