2012年01月18日

医療・介護関連肺炎(NHCAP)ガイドライン11・群別の治療法について・D群の治療

D群:入院治療、その中でも集中治療を要するグループです。

具体的なターゲットは肺炎球菌・インフルエンザ菌・MSSA・クレブシエラ・クラミドフィラ・ウイルスに加え、耐性菌として緑膿菌・アシネトバクター・ESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生腸内細菌・MRSA・ステノトロフォモナスなどが想定されています。


抗生剤の選択では、C群のペニシリン、セフェム、またはペネムのいずれかに加えて、非定型病原体も確実にカバーするためにキノロン、マクロライドを併用する、という使い方になります。


  • ペニシリン系:TAZ/PIPC注射薬

  • セフェム系:CFPM・CPR注射薬+CLDMまたはMTZ注射薬

  • ペネム系:IPM/CS・MEPM・DRPM注射薬



のいずれかに、


  • CPFX・PZFX注射薬

  • AZM注射薬



を加える、とされています。AZM注射薬(ジスロマック注射用)は最近発売されたもので、どう使ったらいいの?という声もありますので、近いうちに取り上げたいと思います。


なお、院内肺炎ガイドラインなどでも取り上げられている、緑膿菌ターゲットの併用療法(特にアミノグリコシドを併用する)は、データから見て高齢者においてメリットよりも、むしろ腎障害などのリスクが大きいとされ、勧められていません。


もちろん、MRSAのリスクがある場合には、バンコマイシン、タゴシッド、ザイボックス、ハベカシンも併用することとなっています。




こう見ていくと、考え方は結構単純化されていると思いませんか?思っていただきたい。ガイドラインは、初心者、専門外の方々のためのものでもあるのですから。



抗菌薬選択のまとめ

  • 非定型をカバーするものは、マクロライドとキノロン。
    キノロンは、細菌も広くカバーするため、ある程度は単剤で使える。

  • 嫌気性菌をカバーするものは、ペニシリン、ペネム、メトロニダゾール、ダラシン。誤嚥がありそうなら、使用または併用。

  • A群、B群では緑膿菌を考慮しない、というか、むしろ緑膿菌に対して効果のないものを選択するべき。

  • C群、D群では抗緑膿菌作用を重視するが、副作用の少ないものが望ましい。
    MRSAは出たことがあれば、カバーする。



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posted by 長尾大志 at 10:12 | Comment(2) | 肺炎ガイドライン解説
この記事へのコメント
嫌気性菌にマクロライドは弱い印象があるのですが・・・メトロニダゾールではないでしょうか。
Posted by 四国の呼吸器内科です at 2012年01月18日 12:15
全くその通りで、コピペの時に間違えました。
ご指摘ありがとうございます。助かりました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
Posted by 長尾 大志 at 2012年01月18日 17:53
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