肺炎予防としては、先に挙げた誤嚥対策以外に、ワクチンが挙げられます。
成人の肺炎対策に使えるワクチンは、
・肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)
・インフルエンザワクチン
の2つです。
インフルエンザワクチンの効果についてはもはや申し上げるまでもないでしょう。
肺炎球菌ワクチンについては、最近はマスコミでも取り上げられることが多く、一般にもかなり浸透してきているようで、喜ばしい限りです。
先日も書きましたが、5年前は、患者さんに説明してご理解いただくのも一苦労だったのに、最近マスコミで大きく取り上げられるようになると、逆に患者さんから「肺炎球菌ワクチンのことを聞きたいんですけど…」「やってください」と依頼されるようになりました。全国的に品薄になるほどの人気のようですね。
もちろん個人レベルでも肺炎球菌感染による肺炎のリスクを低減させるわけですが、ガイドラインで言われているのは、特にナーシングホームなどの施設における肺炎球菌感染症の集団発生を抑制する効果で、こういう施設での接種が勧められています。
インフルエンザワクチンと併用でさらなる効果の上乗せが確認されており、そういう施設での併用が勧められています。
1回接種すると5年間有効?というか、効果があります。これまでは1回こっきりの接種しか認められていませんでしたが、今では2回、3回と接種可能ですから、遠慮無く!?お使い頂けます。
当然のことですが、いわゆる耐性菌にも効果がありますし、保菌者を減らす効果も認められています。高齢者を診ておられる施設では必須といえるでしょう。
しかしながら、ワクチンには限界もあります。すべての肺炎発症を抑制するわけではありません(まあ、ワクチンですから…)し、市中〜医療・介護関連肺炎の50〜70%を占めるとも言われるの、肺炎球菌以外の菌にはまったく無効であります。
医師の皆さんにとっては、このあたりのことは常識と言ってもいいでしょうが、患者さんにとっては違います。
「ワクチンをうったのに、肺炎になった…」
「ワクチンをうったのに、風邪を引いた…」
「ワクチンをうったのに、なんかしんどい…」
みたいなプチクレーム?を言われることが結構あるのです。
発症「率」を下げる、といっても、かかってしまったら100%になるわけですから、なかなか説明が難しいですね。
それでも、TVなんかでみの○んたさんあたりが、懇切丁寧に説明していただくことで、以前より誤解は随分減りました。
中には、何度も説明してたことを、さもはじめていいことを聞いた、といわんばかりに、「この前テレビで見たんですけど…」とおっしゃることも。
ありがたい反面、患者さんって、目の前の主治医より、みのさんを信頼するんだなー、と、無力感を覚えることも…。
肺炎ガイドラインを最初から読む
2012年01月19日
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