2012年01月20日

ジスロマック(アジスロマイシン)注射用の使い方

最近発売になった、ジスロマック(アジスロマイシン:AZM)注射用について、うちでも先日説明会がありましたが、メーカーさんのプレゼンでは今ひとつ、ターゲットが明らかではありません(うちだけかもしれませんが…)。

実際どのように使ったらよいかを考えてみます。


ジスロマック注射用は最近発売されたため、以前に発表されている市中肺炎、院内肺炎のガイドラインには掲載されていません。


医療・介護関連肺炎(NHCAP)ガイドラインでは、ICU管理を要するような重症群でようやく出てきます。


…まあ、そういうことです。


エビデンスとしてあるのも、重症肺炎の治療時に併用薬として用いるマクロライドとして、(非定型病原体をターゲットとして)というデータばかりです。


決して、「ちょっと食欲が落ちている、そこらの肺炎に、気軽に使える注射薬」ではありません!


マクロライド系の薬は肺炎球菌はじめ、多くの肺炎原因菌に耐性がついてしまっています。ただ、AZMは組織移行にすぐれ、細胞内にも分布し高い局所濃度を示すことから、ある程度細菌にも抗菌力があるようです。

数年前から使われているSR製剤では、一回投与で治療完了、という簡便さもあり、軽症市中肺炎で重宝されたこともありました。


今回のプロモーションというか、言われようを見ていると、食べられない患者さんには注射薬が…とか、注射→経口のスイッチ療法が…とか、(DPBに対する少量長期療法で言われている)抗炎症効果が…とか、何となく、「気軽に使ってね」的なニュアンスを感じましたが…。


もちろん、メーカーとしてはたくさん使った方がいいのはわかりますが、若干の疑問と違和感があり、MRさんに質問してみました。
すると…「いやいや、そんなことはありません。重症肺炎の併用療法に限って、使っていただきたい」とのことでした。


それを聞いて少しホッとしましたが…専門医のいない病院などで、気軽に使われやしないかと少し戦々兢々です。

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posted by 長尾大志 at 12:17 | Comment(0) | 肺炎ガイドライン解説
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