「頭でっかち」という言葉があります。
知識ばかりで経験を伴わない様子を指しますね。
逆に、経験は豊富でも、それを体系づける知識が無くては、説得力がありません。
臨床の現場では、0か1か、正か負か、白か黒かで割り切れないことも多い。
はっきり診断がつかないことも、実は結構あるのです。
ある診断基準を満たさない状態だって多いわけで。
いろいろな要素が絡み合って、複雑な様相を呈していることもある。
治療を開始して、うまくいかないことも。
じゃあ、そこでどうするか。
教科書なんかの知識だけだと、ここのところのニュアンスがわからない。
学生の時によく勉強している人が陥ることもある状態です。
頭でっかちだと、臨床医としての進歩が妨げられることもあるのです。
むしろ、頭が真っ白の「フォーマットしたて」の状態でがんがん経験を積む方がいい。まあ本当に真っ白も困りますが、国試を通る程度の知識があればいい。
そしてある程度の経験をへて、「ああ、ぜんぜんわからない」という状態で、本を読む。そうすると、それはもう、「砂漠が水を吸収するがごとく」知識が入ってくるのです。
卒業時にほぼ真っ白(苦笑)だった私の個人的経験からすると、経験を積んで、追い詰められて勉強すると、それはそれは効率的に?頭に入りますので、お勧めです。
いずれにしても、知識と経験は、バランスよく兼ね備えてナンボ、と思いましょう。
経験と言えば、よく言われていることが、「経験が豊富なほど、やさしくなれる」というもの。
やさしくなれる、というのは、他人のことを配慮できる、他人の事情が理解できる、つまり、多くの経験を積んだ方のほうが、「あの人は、こういう事情があるかもしれない」とおもんばかることができるようです。
実際、いろいろ涙を流した人の方が、度量が広くなる、ということはよく言われますし、実感しているところです。
経験豊富であると、いろいろな面で、懐が深くなる、そういえるのではないでしょうか。
私も、もちろんまだまだ経験不足、発展途上ではありますが、それでも、これまでに、ここでは書けない、いろいろなつらい経験があるものです。やはりそういう経験を経ると、少しずつではありますが、他人の事情を斟酌(しんしゃく)することができるようになってくるように思います。
あとはまあ、子供にかなり鍛えられている、っちゅう面も大きいですね。期待のハードルを下げる訓練は毎日やらされています(苦笑)。
逆に、いわゆる「ネット住人」の方のように、経験、実体験が少なくて知識?に偏っている頭でっかちの人は、他人に対して思いやりが少なく、匿名で誹謗中傷したり、ネガティブな行動をとったりされるのではないか?と推測するものであります。
2012年01月22日
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