2012年01月30日

吸入薬の種類・使い方各論2・去痰薬

去痰薬とは文字通り、去痰作用のある薬剤です。


痰の粘調度を下げる、痰を溶解させる、などの効果が謳われています。内服薬と注射薬、そして吸入薬があり、いずれも相当以前から使われている、古い薬です。


それだけに、現在の基準に照らし合わせるとエビデンス不足というものもあるようです。

最近の基準でエビデンスをきっちり出しているのは、いくつかの内服薬が中心で、安定期に定期的に使用することでCOPD患者さんの増悪頻度を減少させた、とされています。

まあ薬価が安いこともあり、メーカーもあまりエビデンス構築に注力していない、というのが実情のようです。


吸入薬に関しては、主に術後の無気肺予防に使われているのではないかと思いますが、喘息やCOPDの発作時、悪化時に使われているのも見かけます。


具体的な薬剤、使用法ですが、


ムコフィリン吸入液 1回1〜4ml
ビソルボン 1回2ml
(いずれも、用量は成人量です)


これらの原液を「適当量」の生理食塩水に溶いて、ネブライザーで吸入、という感じですが、ネブライザーの方式、あるいは機種によって「適当量」は異なります。だいたい溶解した液の総量が何ml、という感じで推奨されているので、それに従って量を決めます。


基本的には痰を切りやすくする、というのが目標ですから、痰の粘調度を下げる目的で多量の水が気道内に入る超音波ネブライザーを使われるケースが多いように思います。


さほど効果も副作用もない(言っちゃった…)薬ではありますが、注意すべき点を2つ。


いずれも、気管支喘息で気道が過敏になっている状態下では、添加物が気道反応を誘発して、気管支痙攣、大発作につながることがあります。
ですから、最近では喘息発作時にはあまり使用されなくなっています。


また、ビソルボンは、後日出てくる溶解剤であるアレベールと配合禁忌となっています。


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posted by 長尾大志 at 12:42 | Comment(0) | 吸入療法
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