β刺激薬は気管支拡張薬の代表で、正式にはβ2受容体を刺激する、β2刺激薬といいます。
そのうち、作用時間が短くて速効性のある、短時間作用性β2刺激薬(short-acting beta 2 agonist:SABA)は喘息の薬として、随分以前から使われています。
SABAは速効性にすぐれることから、喘息やCOPDといった気道が収縮する疾患の発作時、急性期に使用されてきました。
具体的な薬剤名、使用法としては、
■ネブライザー吸入を行うもの
アロテック吸入液 1回0.2〜0.5ml
ベネトリン吸入液0.5% 1回0.3〜0.5ml
メプチン吸入液0.01% 1回0.3ml、または0.5mlの1アンプル
(いずれも、用量は成人量です)
それぞれ1回量を、「適当量」の生理食塩水、または溶解液に溶いて、ネブライザーで吸入、という感じですが、ネブライザーの方式、あるいは機種によって「適当量」は異なります。だいたい溶解した液の総量が何ml、という感じで推奨されているので、それに従って量を決めます。
喘息で入院となった方には、上の1回量を定期的に1日3〜4回吸入、としたり、発作時に吸入、としたりします。救急外来で繰り返し吸入、という使い方もします。
■定量噴霧器として使うもの
メプチンエアー 1回2吸入
メプチンクリックヘラー 1回2吸入
サルタノールインヘラー 1回2吸入
メプチンの定量噴霧器には、加圧噴霧式定量吸入器(pressurezed metered-dose inhaler:pMDI、しゅっと、ガスが噴射されるタイプ=メプチンエアー)と、ドライパウダー定量吸入器(dry powder inhaler:DPI、微量の粉を吸い込むタイプ=メプチンクリックへラー)の2種類があります。
サルタノールを含め、いずれも、成人だと1回2吸入(発作時噸用、あるいは1日4回まで)、小児はその半分、1回1吸入が目安です。他院ではメプチンキッドエアーという、小児用量の製品もあります。
なお、ベネトリン=サルタノール=サルブタモール(一般名)です。
最近では、普段から発作予防に(吸入ステロイドと併用して)使える、長時間作用型β2刺激薬(long-acting beta 2 agonist:LABA)が開発され、喘息のコントロールが便利になりました。
とは言っても、喘息治療の柱は吸入ステロイドで、LABAはあくまで「症状をコントロールするために、吸入ステロイドの補助薬として使用する」という位置づけです。LABA単独では喘息を悪化させるため、使用してはなりません。
そういうわけで待ち望まれていた吸入ステロイドとLABAの合剤が、今では広く使用されています。詳しくはweb喘息講座・吸入ステロイドと合剤を参照してください。
COPDなんかですと、吸入ステロイドは必須ではないため、むしろLABA単剤で用いられたり、抗コリン薬と用いられたりすることもありますが、最近ではこちらも合剤が増えてきています。
pMDIは噴射用のガスにフロンガスを使っていた、ということから、最近開発された新しい薬ではDPIが採用されていることが多いのですが、LABAも例外ではありません。
セレベント 1回1吸入 1日2回
オンブレス 1回1吸入 1日1回
いずれもDPIです。救急の現場で使われることはないと思っておいていいでしょう。
吸入療法を最初から読む
2012年01月31日
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