29歳男性、勤務先で喉頭結核患者に接触し、その後QFT陽性が判明、胸部X線写真とCT検査では所見なし、という症例です。
ここまでの結果わかったことは、明らかな接触歴の後にQFTが陽性である、ということ。
入職時の検査は不明でありますが、排菌患者さんとの明らかな接触があり、QFT-Gが陽性である、となりますと、結核菌が体内に入り、IFN-γを産生する程度の免疫反応が起こった、ということになります。
将来ある若者であれば、このままにしておくと将来10%程度ですが結核を発病する恐れがあります。特に医療関係者であれば、自身が発症されると患者さんに伝染し、大きな問題となる恐れがあります。また、若いドクターは食事や睡眠も不規則になりがちで、発症リスクは高いと見込まれます。
そういうことを勘案しますと、、抗結核薬をあらかじめ内服しておくことで将来の発病を予防することが望ましい、ということになります。
長い長い結核の話・潜在性結核感染症治療(予防内服)についてを参考にしましょう。
抗結核薬の副作用、特に肝障害が、高齢の場合頻度が高い、ということがあり、しばしば心配されるようです。発病者の治療については、ある程度副作用が許容されるとしても、発病していない人に対する投薬で肝障害が起こるのはいかがなものか、ということですね。
では実際どの程度でおこるのか。INHによる肝障害は、35歳未満で0.3%という統計があります。それ以上だと1〜2%で、少しリスクが上昇します。それで、以前の「予防内服」の時代には、対象が29歳未満となっていたわけです。
また、末梢神経障害においても、主に問題になるのは高齢者で、ビタミンB6投与である程度予防可能です。若い方ではビタミンB6投与もあまりしませんが、どうしても心配であれば、内服されても良いでしょう。
…というような説明になるかと思います。
本で「肝障害」とか、「末梢神経障害」という知識だけを知っていると、そういうことを警戒しすぎて医学的に妥当な選択を行えなくなる、ということに気をつけたいもの。
以て他山の石となす、です。
LTBIについて、ネットで調べていましたら、先生のサイトを見つけました。大変判りやすい説明で、勉強になっております。私事の相談なのですが、私は30歳代医療従事者なのですが、TB排菌患者さんと接触があり、後の保健所指導により、QFT検査をしましたら、陽性となりました。そのためINH 300mg/日を服用していましたが、6週目の肝機能検査で、GOT80 GPT115と、服用前と比較して約5倍となっていました。さらに倦怠感などの、自覚症状もありました。すぐに服薬を中止し、今後肝機能検査をする予定となっております。先生にお尋ねしたいのは、今後LTBI治療として、REFなどを服用したほうが良いのでしょうか?それとも、副作用のリスクを考慮して、服薬せず、経過観察でよいのでしょうか?もちろんINHは再服用はしたくないのですが、いかがでしょうか?是非お知恵をお貸しください。よろしくお願いします。
INHを服用できなくなった現状況においては、LTBI治療の継続は難しく、後は2年間は発病せぬように養生するということですよね。ただ、忙しい勤務が日々続いており、このことを理由に業務軽減依頼をするわけにもいかず、悩ましい所です。発病予防の観点から、日頃心がけた方が良いことや、取り組みなど、何でもかまいませんので、ご教示ください。
http://tnagao.sblo.jp/article/46874154.html
などが挙げられています。
3食バランスよく食べ、夜遊びをせず、規則正しく十分な睡眠をとる、こんなところでしょうか。