2012年02月27日

今日の症例・同門会、一般演題の部より、慢性肺血栓塞栓症として治療開始されたが状態悪化した一例

もう1例は、うちの症例ではなく、Y先生が以前勤めておられた先での症例です。


60歳代 男性

主訴:体動時呼吸困難
既往歴:67歳 アスベスト肺 
現病歴:2月頃から体動時の息切れを自覚し、3月に近医を受診。胸部CTで肺動脈本幹から右肺動脈にかけて陰影欠損を認めたため、慢性肺血栓塞栓症の診断でワーファリンの投与が開始された。しかし画像上改善を認めないため10月に某病院循環器科を紹介受診。

職歴:造船所勤務(アスベスト暴露歴あり)
家族歴:特記すべき事項なし
喫煙歴:20本/日×20年(25〜45歳) 
理学所見:身長 171.0 cm, 体重 76.0 kg
血圧 142/69 mmHg, 脈拍 57/min 肺音・心音:清

検査所見
末梢血
WBC 6300 /μl
neu 78.2 %
lym 11.5 %
mon 6.4 %
eos 3.8 %
Hb 13.9 g/dl
Plt 30.1×106 /μl
生化学
GOT 15 IU/l
GPT 10 IU/l
CRE 0.8 mg/dl
BUN 8 mg/dl
Na 142 mEq/l
K 4.5 mEq/l
TP 7.4 g/dl
CRP 0.8 mg/dl
BS 122mg/dl

凝固系
PT 27.4sec
PT (INR)2.25
APTT 41.4sec
D-dimer0.61μg/ml

腫瘍マーカー
CEA 4.0ng/ml
CYFRA1.1ng/ml
Pro GRP22.2pg/ml

動脈血ガス (room air)
pH 7.41
PaCO2 37.0mmHg
PaO2 65.6mmHg

尿検査
潜血 −
蛋白 −
糖 −


胸部レントゲンでは、右胸水と両側胸膜班を認め、


図kekk1.jpg


胸部CTでも胸膜班と、造影CTでPA本管に欠損像を認めました。


図kekk2.jpg


慢性に進行する呼吸困難。造影CTでPA本管に欠損像あり、ということで慢性肺血栓塞栓症として治療開始されたのですが…。



ところが、治療に反応しません。
だんだん酸素状態も悪化します。


そればかりか、造影CTで欠損部も拡大。
D-ダイマーは経過中ずっと陰性。


さて、どういう病態を考えますか?

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posted by 長尾大志 at 15:54 | Comment(2) | 今日の症例
この記事へのコメント
いつも楽しく拝見させて頂いております。
腫瘍の可能性が最も高いように思いました。
原発か転移か。
血管内腫瘍は原発のことが多かったように記憶していますが。
転移性血管内腫瘍の報告も目にした記憶があります。肺動脈のような低圧系の血管であれば生着しやすいかもしれません。Asbestosisがこのようなことを起こすかは分かりません。
原発なら平滑筋腫または肉腫でしょうか。
血管内カテーテルを介した生検を考慮しますが、いきなり手術に行っても良いかもしれません。
Posted by 6年目の僻地の家庭医 at 2012年02月27日 19:51
6年目の僻地の家庭医さん、きっとたくさんの症例を経験なさっているのだと思います。さすがですね。
Posted by 長尾 大志 at 2012年02月28日 18:05
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