北海道大学循環器内科教授の、筒井裕之先生が書かれたエッセイに、同タイトルのものがあり、私が日頃考えているものの、うまく言葉にできていなかったイメージを的確に言語化されていたので、是非ご紹介させていただきたいと思います。
以下、「 」内は引用です。
筒井先生は、国民が望む『いい臨床医』を
「基本的臨床能力をもち、患者さん・ご家族の立場に立って診断・治療を行い、他のスタッフとともにチーム医療を進めていくことができる、人間性にすぐれた医師」
と定義づけられています。
そして、『いい臨床医』の育成には『いい指導医』の存在が不可欠であり、いい指導医は以下の5つの要件を備えている必要があると考えておられます。
- 自らが「いい臨床医」である
- 「いい臨床医」の育成に情熱を注ぐ
- 自らが広い視野に立って研究に取り組む
- 研究心を持った臨床医を育てる
- メンターとして自らを磨く努力を怠らない
こうして書いてみますと、自分は全く及ばないということがよくわかりますね…。
「指導医は研修医のロールモデルたるべし、実際の診療が教科書になるので、質の高い安全な診療が日常的に行われているべき」、というところも、まったくその通り、日々精進であります。
「初期臨床研修では、診療の基本である『客観的で精緻な観察、病態の論理的な把握、診療行為の効率的な計画と実施、その結果の科学的な検証』という一連のプロセスをしっかりと身に着ける必要がある。
言い換えれば、『患者さんの訴えによく耳を傾け、注意深く身体所見をとり、患者さんの抱える問題点を的確に見出し、必要な検査で、最もいい治療を受けていただく。そして、その結果を真摯に分析し、その患者さん自身、さらには次の患者さんに生かしていく』ということである。」
嗚呼、なんということでしょう。これがまさに、言いたかったけどうまく言葉にできなかったことなのです。もうそのまま引用ですが、こういうことなのです。
「臨床研修において、手技や技術の習得ばかりにとらわれ、臨床医として必要な『総合力』を身につけていかなければ、『腕にだけは自信のある医療技術者』になってしまう危険性がある」とおっしゃいます。
ここも、激しく同意します。そういう方々、その辺に、いっぱいいますから…。
「診療と研究の両方を経験する中でのみ、臨床医にとって必要な総合力が身につき、サイエンスである医学と、アートである医療を両面から実践できる真の意味で『いい臨床医』として成長していくことが可能である」
今日はほとんど引用になってしまいましたが、このように言語化していただきますと、自分の目指すべき方向性が見えて参ります。
筒井裕之先生に、感謝の意を表します。ありがとうございました。
私は、いい指導医を目指します。
皆さんは、いい臨床医を目指しましょう。