あと、入院時にほしい情報としては、血糖コントロールの状況と内服している薬あたりでしょうか。
【入院時内服薬】
メデット(250) 2T分2 <ビグアナイド>
グルコバイOD(100) 3T分3 <α-GI>
アクトス(15) 1T分1 <インスリン抵抗改善薬>
フルイトラン(2) 0.5T分1 <サイアザイド>
オルメテック(10) 1T分1 <ARB>
グリメピリド(1) 2T分1 <SU薬>
ニフェジピンCR(10) 2T分2 <Ca blocker>
ここまでをまとめましょう。
基礎に糖尿病(経口血糖降下薬使用)、胃潰瘍のある喫煙者に生じた病態です。
糖尿病ですから、コントロールの具合にもよりますが若干の免疫低下はありそうです。胃潰瘍でpHを高くする薬を内服中。
喫煙者でもあり、感染リスクはある。COPDがあれば、呼吸器症状が出やすいということも想定しておきましょう。
発症は比較的急性で、安静で少し改善しています。糖尿病や年齢を考慮すると、若干症状が非典型的であるかもしれない、と思っておきましょうか…。
…さて、それでは、身体所見を見てみましょう。
Hugh-Johns U度
身長 159.5cm、体重 71.7kg、BMI 28 この8ヶ月で10kgの体重増加あり
入院時BT 36.8℃(外来受診時は37.6℃)、BP 124/72mmHg、HR 80、RR 28、SpO2 90-93% (room air)
咽頭発赤(−)結膜:貧血黄染なし 表在リンパ節蝕知せず
胸鎖乳突筋の発達や吸気時鎖骨上窩の陥凹はない。
呼吸音:右>左の全肺野で吸気時coarse crackles(+)、呼気終末時wheeze(+)
心音:心拍整 T(→)U(→)V(−)W(−) no murmur
腹部:やや膨満、軟 波動なし 腸音正常
下肢浮腫なし、両側足背動脈触知良好
だいたいこんなところです。
糖尿病のコントロールがよろしくないのか、体重増加があったようですが、あとは呼吸器系の所見が目立ちますね。
心拍数は体温相応なのに対し、呼吸数が上昇しています。SpO2の低下も見られます。そして吸気時全体に聞かれる断続性のラ音ですね。これは気道内の痰が震える音を反映しているといわれますから、痰が出てくるような疾患と思われます。
急性に発症した、呼吸器症状を呈する疾患。さらに、肺に断続性ラ音とwheezeも聴取される。鑑別は、まあ、だいたいお察しの通りだと思います。それでは、どのような検査結果が期待?されますか?
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2012年03月06日
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