まずは病歴と身体所見から。
比較的急性発症ですが、突然の悪寒戦慄や、急な高熱などはありません。
基礎疾患としては、糖尿病と喫煙歴です。重症ではないにしてもCOPDもあるかもしれません。意識を失うほどの深酒はなさそう。
身体所見では、それほどの高熱でなく、全肺野で吸気時coarse crackles(+)が聴取されます。
市中肺炎でよくあるのは、肺炎球菌、マイコプラズマ、クラミドフィラ、H.influenzae、などなど、となります。
ガイドラインでまずは細菌と、主にマイコプラズマを鑑別する項目として、以下の6項目がありますが…
細菌ぽい項目 非細菌ぽい項目
高齢者 若年者(<60歳)
基礎疾患あり 基礎疾患なし
痰が多い 痰が少ない
ラ音が聴かれる ラ音が聴かれない
空咳が少ない 空咳が多い
白血球が増える(≧1万) 白血球が増えない
高齢で基礎疾患があり、ラ音が聞かれて空咳が著明でない、とすると、これは細菌ぽい、ということになるでしょう。
また、喫煙歴(+COPD)と、比較的緩徐な発症から、細菌がいるとすると、ひょっとするとH.influenzae、あたりをイメージされるでしょうか。
次に検査所見を見てみますと、WBC 17,400>1万です。上記の病歴・所見と合わせると、マイコプラズマはあまり考える必要がなさそうです。
そして、胸部レントゲン。

大葉性肺炎というよりは、多発する班状影で、いかにも肺炎球菌、という感じではなさそう。
肺炎球菌尿中抗原も陰性です(だからといって、すぐに否定はできかねますが)。
そして、喀痰からHaemophilus属を検出した、となりますと…。
いよいよ、抗菌薬の選択です。
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