2012年03月16日

独り立ちの刻(とき)・びまん性肺胞出血の鑑別診断・血管炎の鑑別

血管炎や膠原病など、血管に炎症が生じた結果、血管透過性の亢進、血管壁の破壊が生じて出血に至る、という機序を考えますと、


  • 症状、病歴が合致するか確認

  • 所見、肺外病変の有無を確認

  • そして、血清マーカー、特異抗体出現確認



を確認せねばなりません。
本症例ではどうだったでしょうか。


■症状、病歴

1ヶ月前からの症状、労作時の呼吸困難と血痰以外に、発熱や神経筋症状、関節症状、皮膚症状など、血管炎や膠原病を思わせる症状はありませんでした。


既往歴・家族歴でも特にそういう病歴はなく、アレルギー性鼻炎はあるものの副鼻腔炎(Wegener肉芽腫症の初期症状)、喘息(アレルギー性肉芽腫性血管炎に先行)はなし。


■所見、肺外病変の有無

身体所見、肺外病変では、血管炎や膠原病を思わせる所見、特に血管炎や膠原病の予後を決めることの多い腎障害の有無を見たいところですが、尿所見や腎機能上、異常は認められませんでした。


■血清マーカー、特異抗体

これも、ANCA を含め、主なものは入院時の採血(結果は1週間後に判明)ではnegative。



以上に加えて重要な情報が、薬剤使用歴です。血管炎、あるいは他の機序で肺胞出血を来す薬剤は数多く、UpToDateを見てもいろいろ書いてありますね。


以前にも書いたそれぞれの機序において、
原因となる薬剤を挙げますと、

  • 広い意味での血管炎:ジフェニルヒダントイン・プロピルチオウラシル・レチノイン酸

  • 炎症のない出血:抗凝固薬

  • びまん性肺胞障害:アミオダロン・ペニシラミン・プロピルチオウラシル・シロリムス・細胞障害性抗腫瘍薬など



薬剤…
本症例は、ワーファリンを内服している…


一元的に考えると、よくあるのは、

ワーファリン内服、血中濃度上昇→凝固能低下→出血、です。

ただ、PT-INRは2.85と、伸びてはいるものの、それだけで説明するのも無理があるように思います。感染の関与?はたまた…。

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posted by 長尾大志 at 19:22 | Comment(0) | 血痰・喀血・肺胞出血
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