最近知ったのですが、この疾患、国際的には名前を変更しようという流れになっているようですね。
それがまた、味も素っ気もない、というかなんというか、
glanulomatosis with polyangiitis
肉芽腫性血管炎…?
こういう、人名のついた病名は、より科学的?で、病理、疾患の機序を表す病名に取って代わられるべきだ、という論調が、最近のレビューにちょこちょこ書かれてきています。
ただ、他の用語を提唱しているところもあり、日本でもまだ一般的でないようですが、そのうち変わってくるのではないかと思われます。今のところ、ここではWegener肉芽腫症と表記しておきます。
さて、このWegener肉芽腫症については、是非知っておいていただきたいことが2点あります。
■C-ANCA(PR3-ANCA)は感度、特異度ともに高い。
C-ANCAはWegener肉芽腫症における感度、特異度が高い、これは是非知っておきましょう。他疾患でほとんど陽性にならない、特異度の高さは臨床の現場で大変便利?です。つまりこれが陽性になれば、他疾患の除外はほとんどできたも同然なのです。
公費負担のための診断基準にも、C-ANCA陽性、という項目が含まれています。
■E-L-Kの順に症状が出る。
Eは上気道、Lは肺、Kは腎臓です。Eは元々ear(耳)のEですが、上気道を代表させています。
多くの場合はE-L-Kの順に症状が出てきます。Eだけ、あるいはEとLだけに症状が限局していれば、ELKすべてに病変が出てしまった場合よりも軽症である、とされています。Kまで行ってしまうと、結構難儀します。
また、上気道症状は副鼻腔炎〜鞍鼻が有名ですが、眼(眼痛、視力低下、眼球突出)、耳(中耳炎)、口腔、咽頭(咽頭痛、潰瘍、嗄声、気道閉塞)にも病変は出現します。眼なんか上気道か?と思われるかもしれませんが、つながってるんですねー。
抗菌薬に不応な頭部、上気道に始まる炎症、次いで血痰や喀血、発熱などが出てくる、というのが典型的な病歴。加えて特徴的な胸部レントゲン写真(空洞など)をみればC-ANCAを早めに測定すべきでしょう。
2012年03月20日
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