2012年03月25日

心不全の病態3・左心不全と右心不全1

左心系は、左室−動脈−体循環(毛細血管)−静脈−右房
右心系は、右室−肺動脈−肺循環(毛細血管)−肺静脈−左房

ですから、左心系が不全状態になる左心不全と右心系が不全状態となる右心不全では、出てくる症状は異なります。


まずは体循環に影響が来る左心系を考えましょう。


左室の前方には動脈と体循環がありますので、左室の前方障害ということは心拍出量の減少によって末梢の臓器に酸素が行き渡らない状態、となるわけです。


血圧は低くなり、手足の血行が悪くなって冷たくなります。また、倦怠感というか疲労感が起こりやすくなります。また、腎血流が低下することで、尿量減少、つまり水分やNa貯留が生じ、うっ血を来しやすくなります。


心不全スライド9.JPG


では、呼吸困難はこちらか…と思いがちですが、呼吸困難はうっ血、つまり後方障害で起こります。前方障害では酸素化はできるのに、その酸素の運搬障害なので、呼吸困難よりむしろ、組織そのものの疲労感が来る、と理解しましょう。



左室の後方は肺循環系があります。後方障害では肺循環系から心臓に帰る血液の流れがスムーズでなくなるわけですから、肺循環系に水がたまるうっ血が生じます。


心不全スライド10.JPG


肺循環系に水がたまると、肺胞内に水があふれ出してきます。空気が入るべき肺胞内に水が入ってきますので、換気ができない肺胞が出てきます。そのため、換気と血流がミスマッチを起こしてきます。


換気血流ミスマッチが起こるとA-aDO2開大、つまり低酸素血症になりますから、それに伴う症状、つまり(労作時、夜間の)呼吸困難、起座呼吸といった症状、それにうっ血自体で肺の湿性ラ音が聴取されます。



ここまでをまとめますと、

左心の前方不全では、倦怠感・疲労感に四肢の冷感、
左心の後方不全では、(労作時、夜間の)呼吸困難、起座呼吸、それに肺の湿性ラ音が

症状として認められる、ということです。


もちろん、前方不全、あるいは後方不全だけ起こるということではなく、心不全の時には両方とも起こってくるので、ある患者さんの症状について、これはどっち、と分類することを目標とするものではありません。あくまで、病態を理解する一助としていただくために、分けて考えてみています。


ああ心不全を最初から読む

トップページへ

posted by 長尾大志 at 13:14 | Comment(0) | ああ心不全
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。