2012年04月03日

心不全の原因とその病態について

随分回り道をしましたが、心不全の原因について考えてみます。

最近読み始めた方は、このブログが何だかよくわからん説教ブログか、と思われるかもしれませんので、そろそろ本来の路線に戻りましょう。



まずは理解しやすい、心筋そのものの障害から。

もちろん、循環器の花形、虚血性心疾患があります。いろいろな意味で対処しやすいやつですね。それ以外には、心筋症、心筋炎の後遺症もありますね。



次は、心筋がやられる疾患ではないけれども、血液を押し出すときの抵抗がかかり(つまり、後負荷が大きくなり、その結果血液が出て行かない、心拍出量の低下とうっ血が起こる病態があります。


血管の抵抗が上がる、つまり高血圧です。


で、高血圧といえば、普通は上腕にマンシェットを巻いて測定する血圧が高い状態を指しますが、そちらは左心系の高血圧です。それ以外に、肺動脈系の圧が上がる、肺高血圧、これも(右)心不全の原因になります。


それから、心臓の内部で血液の通り道が狭くなったりして、拍出に必要な仕事量が増える状態が弁膜症です。

似た病態で、先天性心疾患も、心臓の内外で血液の余計な通り道ができる、その拍出のためには余計な仕事がかかる、ということになります。




最初に分けたように、心不全の病態分類には以下のようなものがありました。


  • 前方不全と後方不全

  • 右心不全と左心不全

  • 低心拍出性不全と高心拍出性不全

  • 収縮不全と拡張不全



じゃあ、これらはどれにあてはまるのか。なかなか明確に分けられない、というのが実際のところですね。


たとえば、虚血性心疾患は、収縮不全を来す。これ、理解しやすいんですが、線維化がおこると拡張障害も来すんですね。心拍出量は低下しますから、前方不全になるのですが、血液が前に行かないという意味では後方不全にもなります。


また、虚血性心疾患は通常、左心系の梗塞が多く、左心不全が起こるわけですが、左心の後方障害から肺うっ血が生じると、肺静脈圧・肺動脈圧が上昇し肺高血圧となり、その結果右心不全を呈する様になるわけです。


心筋症、心筋炎も同じことで、まず収縮不全ありきなのですが、心筋症などでは収縮障害に加えて拡張障害もわかりやすく生じますね…以下同文であります。


高血圧の場合はどうでしょう。これは、慢性に血管抵抗が生じて後負荷が存在することから、心筋に常時高い圧がかかり、線維化などを来す…その結果拡張不全が起こる、と理解されます。ただ、この場合にもその後起こってくる左心不全、右心不全のくだりは同じことであります。


あとは弁膜症・先天性心疾患ですね。心臓の内部に狭い場所(狭窄)、あるいは逆流している場所、変な流れがある、ということになりますから、心拍出量が減る。そのために前方不全、後方不全が生じる、という具合です。



少なくとも、「心不全の存在」を疑うのであれば、病歴聴取の際にこれらの既往については確認しておく必要がありますが、高血圧など、全く自覚されず放置されていることも少なくありません。で、高血圧による心不全は拡張不全の要素も大きいので、診断されにくい、という感じなのです。


心不全になると血圧は下がってきますから、そうなるとその時点では高血圧の判断ができない、ということになりかねないのですね。そういうわけで、診断がなかなか難しいこともあるのが実際です。


それでは、現実的にどうやって診断、治療をするか、というところを考えて参りましょう。


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posted by 長尾大志 at 18:00 | Comment(2) | ああ心不全
この記事へのコメント
とても興味深く拝見させて頂いております。

一つ気になりましたもので・・・・

”また、虚血性心疾患は通常、左心系の梗塞が多く、左心不全が起こるわけですが、左心の後方障害から肺うっ血が生じると、肺動脈圧が上昇し肺高血圧となり、その結果右心不全を呈する様になるわけです。”

肺静脈圧の書き間違いではないでしょうか??
Posted by QQゆみ at 2012年07月21日 03:11
ご指摘ありがとうございます。
もちろん肺静脈圧も上がりますね。直接右心不全の原因となるのは肺動脈圧の上昇ですので、こんな書き方になりました。少し書き直しておきます。
Posted by 長尾 大志 at 2012年07月21日 19:13
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