ガイドラインセッション「薬剤性肺障害の手引きについて」見聞録です。
最近やはり当院でも薬剤性肺障害が多く、講演、質疑とも大変興味深く承りました。
超満員、立ち見多数でしたが、本講演が終わって質疑応答の時間になったとたん、
ぞろぞろと出て行く人が多く、最初の谷口先生の大変重要なご質問が聞き取りにくかったのが残念です。
出て行かれた方々は、もったいないことでした。
備忘のため、メモをoutputしておきます。
うちのスタッフ、誰にも会いませんでしたが、誰かいたかな〜?
追加事項があったら教えてください。
- MTXとニューモシスチス肺炎は、臨床像(画像、BAL、組織)に差はなく、鑑別はしばしば困難。
喀痰でのニューモシスチスPCRは常在との鑑別の問題あり、論議があるところ。
βDグルカンも当初陰性例あり、治療開始をやめる根拠にはならない。 - そもそもニューモシスチス肺炎自体、病原体による直接傷害というより、免疫機序による傷害であるので、ある程度の呼吸状態悪化あれば、ステロイド使用は必須である。
- 逆にMTX肺炎の診断で、LSTは(特に外注では)手法の標準化ができておらず、信頼性が薄い。
特に、漢方薬・MTX・TS1他、会社によってばらつきやすく、そこが問題である。健康コントロールが本来必要であることから、BALによるLSTは結局評価できないことになる。 - 結局、PSLを0.5〜1mg/kg使用して改善なければ、STを使用してみる、というのが現実的。
- 薬剤性肺障害は血液によって来る薬剤による反応なので、健康肺優位になることも有り。
- ペメトレキセドによる間質性肺炎はあるデータでは0.5%程度報告されており、時に致死的。
- インフリキシマブとエタネルセプトでは、市販後調査でも間質性肺炎の新規発症はほとんど報告されていないが、既存病変の悪化はあり、使用前のスクリーニングが重要である。
- エルロチニブによる間質性肺炎は、HRCTにてすりガラス影を呈していても、組織的にDADであることが知られている。
- エルロチニブは今後、膵臓癌に対してゲムシタビンとの併用療法を予定されており、ゲムシタビンにも間質性肺炎のリスクがあることから、気をつけておかなければならない。
- ALK阻害薬に関しては、相当よい効果も得られているようだが、間質性肺炎についてはまだ1例のみの報告で、これからの評価が必要。
私がメモしたことが全て書かれていますが、MTX肺炎の75%が使用後、半年以内に出るというのも印象的でした。皆様の常識かもしれませんが。また、メモを点検して気になることがあれば、コメントさせてください
MTX肺炎の75%が、使用後半年以内、というところは、ひょっとして私の到着前?(汗…)
あとは、メモ書きでは、
日本人に多い薬剤性肺炎はブレオ、イレッサ、ベルケイド、アラバ、タルセバ。
画像と病理のパターンは70%一致している。
DADパターンは予後悪い。
KL-6/SP-DはDADで上昇、EP/OPはSP−Dのみ上昇
アザルフィジンー発症率0.03%
リマチルー発症率0.06%、死亡14%
アラバー0.02%(欧米)、1.3%(日本)、死亡率30%
MTXー発症率1−5%(1990年頃)0.4%(今)
過敏反応?BALではCD8優位。
レミケードー0.5%、3回目の投与後に発症に多い。
先生がお書きなってない所はこんなところでしょうか?
うちの若い先生方に、是非知っておいていただきたい内容であります。