COPD患者さんのフローボリューム曲線は、こんなカタチでしたね。
なぜ、こうなるか、メカニズムを考えてみましょう。
COPD(肺気腫)患者さんの肺は、こんなふうに肺の中に穴が開いています。
見方を変えると、肺の中に空気の固まり?が入っているようですね。これを見て、(顕微鏡とかのなかった)昔の人は、肺の中に空気の固まり(腫瘍)ができる病気じゃ〜!といい出しまして、肺気腫、という言葉ができたわけです。
肺気腫になりますと、肺が穴だらけになるわけで、肺がグニャグニャ、ふにゃふにゃになります。すると肺は弾力がなくなり、伸びやすく、縮みにくくなります。こういう状態を肺のコンプライアンス増加、といいます。
この状態の肺で、例によって思いっきり息を吐きます。そのときには、肺に思いっきり胸壁、横隔膜から陽圧がかかるのですが、
最初の一瞬で肺に陽圧をかけても、ぐにゃぐにゃの肺はすぐには縮みません。かけた陽圧は、中にしっかり伝わりません。
そんなわけで、最初に出てくる空気の量(≒最初の一瞬のフロー)は健常者よりも少なくなり、フローボリューム曲線の最初の立ち上がり、ピークは、健常者よりも下がります。
つまり、ピークフローが低下するのです。
ということで、最初に出てくる空気の量(≒最初の一瞬のフロー)が健常者よりも少なくなりました。
その後スムーズに息を吐き続ければ、そのまままっすぐストンと行くはずですが…。
次の瞬間のフローを考えましょう。
次の瞬間とは、末梢の空気が出てくる相です。
肺気腫が進行すると、細気管支を支えていた肺胞(の壁に存在する弾性繊維)が消失し、呼気時に細気管支は支えを失い、ぺちゃんこに閉塞するのです。結果、呼気時に気道抵抗が生じます。
なぜ呼気抵抗のある人のフローボリューム曲線は、こんなカタチになるのか2で考えたように、呼気抵抗がありますと、次の瞬間、フローボリューム曲線はガクンと、急峻に低下しますね。
たとえば25%の空気を呼出した段階では…
25%減のスピード、つまり、ピークの3/4のフローにには…
なりません。気道抵抗があると、フローはその抵抗によって、ガクンと低下しますから、25%の空気を呼出した段階で、ピークの3/4のフローよりもフローは低下してしまいます。
そしてその後は、頑張って息を吹き続けることで、徐々にではありますが「本来の」フローボリューム曲線に近づき、最終的には容量=0となった時点(最大呼気位)でフローも0になるのです。ここでも、下向きに凸の曲線になります…
ん?
これでいいですか?
ちょっと待ったー(古い、てか前にもやりましたね…)!
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