2012年06月06日

胸部レントゲン道場23・肺野に注目する3・場所に注目する1・片側か両側か。

胸部レントゲンには本当に多くの情報が含まれていることは、これまでにもさんざん申し上げて参りましたが、まだあります。


それは

「位置情報」
「場所情報」

です。


異常影の存在する場所によって、病因がある程度推測できるとなったらどうでしょうか。
イイですよね!(無理やり?)



まずは、パッと見すぐわかるところで、片側か両側か、というものがあります。


XP (87).jpg


片側にしか病変がない、とはどういうことか。
そこに原因がある、ということです。


たとえば、そこに細菌が入って起こった感染症。肺炎、肺結核、なんかですね。こういうものはある部位で感染が成立し、周りに波及していくことが多いので、片側だけ、あるいは片側優位に病変ができていきます。


たとえば、そこに悪性の新生物ができた、肺癌。ある場所で癌化した細胞がその場で大きくなっていくことで、片側だけに病変ができます。対側肺に転移が起こるとしても、原発巣が病変としては優位でしょう。



ただ感染症でも、ニューモシスチス肺炎やウイルスの様に、アレルギーや免疫学的機序が絡んでくるものは両側性に陰影が生じてきます。




そう、両側に病変がある、とは、原因は抗体やサイトカインなどのように、血流(や空気)に乗ってやってきて、あまねく広くあちこちにばらまかれた、と考えるとしっくり来ます。



わかりやすい例で言うと、Goodpasture症候群。


あれはU型アレルギーの代表です。U型アレルギーとは、血中にある抗体がたくさん産生されて、基底膜などを直接攻撃する、というものでした。


その場合、右も左もなく、基底膜という基底膜を同じように(均等に)攻撃するわけですから、両側に同じように病変が生じます。


同様にアレルギーや免疫学的機序で起こるような疾患では、両側に病変が生じやすい、と考えられます。



また、じん肺や肺気腫、過敏性肺臓炎のような、微小な粒子を吸い込んで起こる疾患でも、両側同じような病変が生じます。


これは、吸い込んだものが両側の肺に均等に(実際は上の方が多いですが)分布することによるのです。


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posted by 長尾大志 at 18:35 | Comment(0) | 胸部X線道場
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