2012年06月12日

胸部レントゲン道場25・肺野に注目する5・陰影の辺縁

場所に注目する話、あと少し続きがあるのですが、Webで公開するのは適切ではないかもしれない、と思い直しまして、いったん終了といたします。
また、書籍化の際にはお目にかかれるかも…。



総論としての残りは、陰影の辺縁や性状について。


最初に述べたように、病変部が大きくなっているのか、小さくなっているのか、大きさが変わらないのか。これは、病変部の性質を推測する手がかりになります。


大きい病変であれば、縦隔や横隔膜を動かすので、まずはそこを見るのですが、結節影や浸潤影、といった、比較的小さな病変について、病変部の伸び縮み?を推測する方法があります。


それは、辺縁を見ること。


辺縁が外向きに凸の陰影、これは、大きくなろうという力を感じます。


XP (95).jpg


  • 腫瘍

  • 結核など、腫瘤形成性感染症


などが鑑別に上がります。


逆に、辺縁が内向きに凸の陰影、これは、病変が縮んで周囲を引っ張り込んでいる様子を思わせます。


XP (96).jpg


  • 無気肺

  • 線維化病変

  • 肺切除術後


といった病変(状態)は、縮む性質を持っています。


一方、辺縁がまっすぐで大きさに変動がない病変は、


XP (97).jpg


  • 肺炎(浸潤影)

  • 線維化のないすりガラス影


のように、肺胞内に細胞、浸出液などが出てくる病態です。これらは肺胞の構造そのものを改変するわけではないため、伸びも縮みもしないわけです。


胸部レントゲン、総論はこのぐらいでいったん終了します。ここまで読まれただけでも、随分とレントゲンを見る「眼」は養われたはず。あとは、実例を見ていきましょう!


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posted by 長尾大志 at 18:32 | Comment(0) | 胸部X線道場
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