2012年06月13日

胸部レントゲン道場26・各論の前に・レントゲンで黒くなる場所と白くなる場所

ご存じの通り、胸部レントゲン写真や胸部CTは白黒写真です。
この、3Dだ、地デジだ?、という時代に、あえて白黒、なのです。


この白黒、ですが、これはおおよそ、その場所の密度を反映します。


たとえば、胸部レントゲンの白黒は、

黒い色は空気=密度0(g/cm3)を、
白い色は水=密度1g/cm3を表します。


レントゲン写真を撮るときには、線源からX線が出て、それがフィルムに当たりますね。


XP (98).jpg


その線源を出てからフィルムに至るまでに、何もなければ(空気しかなければ)、出たX線はほとんどがフィルムに当たって、フィルムは感光し、黒くなります(下図の黄色部分)。


XP (99).jpg


ところが体の中を(密度の大きい場所を)通ってきたX線は、ほとんど吸収されてしまいますから、フィルムに当たる頃には弱くなってしまっています。結果、その場所ではフィルムは感光せず、白いままになります(上図の赤色部分)。


一方、肺を通ってきたX線はどうでしょうか。


肺は、多くの袋(肺胞)が集まってできています。袋の中には空気があります。
肺胞の壁(水と同じ密度)と、肺胞内の空気の割合は、だいたい1:9。
つまり、肺の中には、水分(肺胞壁)が1割と、空気が9割含まれているのです。


X線は、肺に存在する水分の割合だけ吸収されますから、この場合1割だけ、吸収され、9割方フィルムに届きます。ということは、フィルムは9割方感光して、9割方黒くなります。逆に言うと、空気よりは1割方、白くなる、ということです(上図の青色部分)。



まとめると、


  • 空気=密度0g/cm3:黒色

  • 筋肉や軟部組織≒水=密度1g/cm3:白色

  • 肺=密度0.1g/cm3:1割だけ白に近づいた黒色



という原理で、胸部レントゲン写真は描かれているのです。。



肺が病気になると、なにがしかの変化が起こります。

肺胞が減ったりして空気成分が増えるか、
炎症や腫瘍が生じて水成分が増えるか。


いずれにしても、肺の密度は変化します。

その変化のパターンをとらえるのが、「読影」という作業なのです。


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posted by 長尾大志 at 22:38 | Comment(0) | 胸部X線道場
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