この、3Dだ、地デジだ?、という時代に、あえて白黒、なのです。
この白黒、ですが、これはおおよそ、その場所の密度を反映します。
たとえば、胸部レントゲンの白黒は、
黒い色は空気=密度0(g/cm3)を、
白い色は水=密度1g/cm3を表します。
レントゲン写真を撮るときには、線源からX線が出て、それがフィルムに当たりますね。
-thumbnail2.jpg)
その線源を出てからフィルムに至るまでに、何もなければ(空気しかなければ)、出たX線はほとんどがフィルムに当たって、フィルムは感光し、黒くなります(下図の黄色部分)。
-thumbnail2.jpg)
ところが体の中を(密度の大きい場所を)通ってきたX線は、ほとんど吸収されてしまいますから、フィルムに当たる頃には弱くなってしまっています。結果、その場所ではフィルムは感光せず、白いままになります(上図の赤色部分)。
一方、肺を通ってきたX線はどうでしょうか。
肺は、多くの袋(肺胞)が集まってできています。袋の中には空気があります。
肺胞の壁(水と同じ密度)と、肺胞内の空気の割合は、だいたい1:9。
つまり、肺の中には、水分(肺胞壁)が1割と、空気が9割含まれているのです。
X線は、肺に存在する水分の割合だけ吸収されますから、この場合1割だけ、吸収され、9割方フィルムに届きます。ということは、フィルムは9割方感光して、9割方黒くなります。逆に言うと、空気よりは1割方、白くなる、ということです(上図の青色部分)。
まとめると、
- 空気=密度0g/cm3:黒色
- 筋肉や軟部組織≒水=密度1g/cm3:白色
- 肺=密度0.1g/cm3:1割だけ白に近づいた黒色
という原理で、胸部レントゲン写真は描かれているのです。。
肺が病気になると、なにがしかの変化が起こります。
肺胞が減ったりして空気成分が増えるか、
炎症や腫瘍が生じて水成分が増えるか。
いずれにしても、肺の密度は変化します。
その変化のパターンをとらえるのが、「読影」という作業なのです。
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