2012年07月02日

医師国家試験過去問(呼吸器系)つまずきポイント徹底解説・チェックバルブ・エアトラッピングとは

先週末、何気なく本文中に出てきた「チェックバルブ」という言葉。
「何すかこれ?」というご質問がありましたので、説明を試みます。


チェックバルブとは、息を吸うときに空気は入るけれども、息を吐くときには空気は出て行かない、一方弁のことです。元々は逆流防止弁(逆止弁)のことですが、呼吸器の場合、たまたまそういう感じになってしまう病態があり、そう呼称しています。


チェックバルブによるエアトラッピング.jpg


上の図を細気管支とそれに続く末梢肺胞と思ってください。上段は健常肺で、吸気(左側)でふくらみ、呼気(右側)で縮みます。呼気では肺が全体的に縮みますので、細気管支も少し細くなります。


ここで、たとえば細気管支に狭窄病変がある場合を考えましょう(下段)。


吸気時は健常肺と同様ですが、呼気時に細気管支が細くなると、細気管支が閉塞し(チェックバルブ)、肺胞から空気が出て行かなくなります。

その結果、入った空気が出て行かない、空気の捕らえ込みといわれる現象(=エアートラッピング)が起こってしまうのです。


この図で書いたように、細気管支内に結節ができるランゲルハンス細胞組織球症(肺好酸球性肉芽腫症)や、血管壁に結節ができるリンパ脈管筋腫症で嚢胞形成が起こる機序として、チェックバルブによるエアートラッピングが考えられています。


それだけでなく、最近では気腫肺など、閉塞性肺疾患においても、細気管支の閉塞が生じる際にチェックバルブによるエアートラッピングが起こる、とされており、「チェックバルブ」「エアートラッピング」という言葉が一般的になってきていますので、知っておきましょう。


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