95G-13
問題文は長いので省略します。問題は、びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)で見られないものはどれか、というもの。
a 1秒量の低下 b 肺活量の低下 c 残気率の増加 d 拡散能の低下 e 動脈血酸素分圧の低下
DPBの病態、というか発症機序は先日述べました。
そもそもの病因は線毛運動の低下であり、線毛運動が低下することで、気道系は全体的に掃除能力が落ちます。クリアランスが悪くなるわけです。
ただし、中枢の気道、太い気管支では、ある程度クリアランスが悪くても、咳で飛ばせば何とかなる。鼻腔内に粘液がたまっても、鼻をかめば何とかなるわけです。
ところが…細気管支、それから副鼻腔では、線毛運動に掃除のほとんどを依存してしまっていますので、線毛機能の低下によって、副鼻腔炎と、両肺あまねくびまん性に細気管支炎が起きてしまうわけです。
-thumbnail2.jpg)
実際の症例は、こんな感じになります。胸部レントゲン写真、CTでは粒状影。
そして副鼻腔は膿でぎっしり。
細気管支炎になると細気管支に痰が詰まります。息を吸うときには肺がふくらみ、まだ空気が通るのですが、息を吐くときに肺が縮むと細気管支の通りが悪くなり、閉塞性障害を生じます。そのため、チェックバルブによるエアートラッピングが起こるのです。
そうなると息を吐ききれなくなりますから、a 1秒量の低下、c 残気率の増加が生じます。残気率が増えると肺活量が相対的に減る、というところと、エアートラッピングによって肺胞への空気の出入りが悪くなる、というところからb 肺活量の低下も理解できるかと思います。
同様に、肺胞に出入りできる空気が減る、ということは、肺胞における換気量が減るわけですから、換気と血流のミスマッチが起こる。そのため、e 低酸素血症になります。
しかしながら、肺胞自体は障害されないため、肺胞に入った酸素はそれなりに、きちんと拡散します。というわけで、拡散障害は起こりません。
医師国家試験過去問(呼吸器系)つまずきポイント徹底解説を全部読む
訂正させていただきました。