2012年07月03日

医師国家試験過去問(呼吸器系)つまずきポイント徹底解説・びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)

今日の過去問は、こちら。


95G-13

問題文は長いので省略します。問題は、びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)で見られないものはどれか、というもの。

a 1秒量の低下 b 肺活量の低下 c 残気率の増加 d 拡散能の低下 e 動脈血酸素分圧の低下



DPBの病態、というか発症機序は先日述べました。


そもそもの病因は線毛運動の低下であり、線毛運動が低下することで、気道系は全体的に掃除能力が落ちます。クリアランスが悪くなるわけです。


ただし、中枢の気道、太い気管支では、ある程度クリアランスが悪くても、咳で飛ばせば何とかなる。鼻腔内に粘液がたまっても、鼻をかめば何とかなるわけです。


ところが…細気管支、それから副鼻腔では、線毛運動に掃除のほとんどを依存してしまっていますので、線毛機能の低下によって、副鼻腔炎と、両肺あまねくびまん性に細気管支炎が起きてしまうわけです。


XP (94).jpg


実際の症例は、こんな感じになります。胸部レントゲン写真、CTでは粒状影。


1DPB粒状影.JPG


そして副鼻腔は膿でぎっしり。


2DPB副鼻腔炎.JPG


細気管支炎になると細気管支に痰が詰まります。息を吸うときには肺がふくらみ、まだ空気が通るのですが、息を吐くときに肺が縮むと細気管支の通りが悪くなり、閉塞性障害を生じます。そのため、チェックバルブによるエアートラッピングが起こるのです。


そうなると息を吐ききれなくなりますから、a 1秒量の低下、c 残気率の増加が生じます。残気率が増えると肺活量が相対的に減る、というところと、エアートラッピングによって肺胞への空気の出入りが悪くなる、というところからb 肺活量の低下も理解できるかと思います。


同様に、肺胞に出入りできる空気が減る、ということは、肺胞における換気量が減るわけですから、換気と血流のミスマッチが起こる。そのため、e 低酸素血症になります。


しかしながら、肺胞自体は障害されないため、肺胞に入った酸素はそれなりに、きちんと拡散します。というわけで、拡散障害は起こりません。


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この記事へのコメント
残気率の問題文が逆になってます!
Posted by at 2012年07月04日 16:40
ご指摘、ありがとうございます!助かります。
訂正させていただきました。
Posted by 長尾 大志 at 2012年07月04日 20:02
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