2012年07月20日

第79回日本呼吸器学会近畿地方会・第109回日本結核病学会近畿地方会見聞録2

6月30日に開催された上記地方会ですが、「膠原病」セッションに演題を出して長い時間その部屋にいたため、いろいろとそちら方面の勉強ができました。
備忘のため、学んだことを記録しておきます。


■血管炎の分類と名称について

やはり 多発血管炎性肉芽腫症glanulomatosis with polyangiitis:GPAという名前に変わっていくようです。Wegener氏がナチにかかわった、というのが理由のようですが、その手のどさくさに紛れて、様々な人体実験的なことが行われてきたことも確かであり、今更名称変更というのも不自然な気がします。


それはさておき、ANCA関連血管炎はANCA associated vasculitisでAAV、その中に含まれるのが、顕微鏡的多発血管炎microscopic polyangiitis:MPA、そしてWegener肉芽腫症がGPA、Churg-Strauss syndromeが元アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)なんですけど好酸球の浸潤する病態が強調されて好酸球性多発血管炎性肉芽腫症eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA、となります。ああややこしい。


これらの疾患は、疾患ごとにかなり特徴的な臨床像を持っており、現在の診断基準はそのあたりをうまくすくい上げているなーと感じます。


以前に書いたとおり、Wegener肉芽腫症(GPA)はE→L→Kの順に症状が出てくるとか、EGPAでは喘息が先行するとか、病歴などにも特徴があります。


また、治療反応性でも、MPAは抑え込みに成功すると落ち着く一方、GPAでは抑え込んだと思っていても、手をゆるめると再燃してしまうため注意が必要です。


もちろん、症例によってはそれらのoverlapであったり、断定できない、ということもままあり、そういう場合にはAAVとしているようです。


症例発表で好酸球増多を来したANCA関連肺胞出血の一例、がありました。この症例、診断基準としてはEGPAのものを満たしてしまいますが、腎病変や肺胞出血はEGPAでは普通来さないので、もっと適切な疾患名を当てはめるべき、と考えるのが自然である、という議論があり、自分の考え方にしっくり来たのがうれしかったです。

トップページへ

posted by 長尾大志 at 12:21 | Comment(0) | 学会・研究会見聞録
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。