
こんな胸水を呈する症例で、胸腔ドレナージ施行いたしました。

臓側胸膜の厚みが増しており、肺の拡張が妨げられているようですが、この段階では特に問題はございません。
翌日、研修医の先生がやってきて、「呼吸性移動もエアリークもありませんが、どうしたらいいですか?」と尋ねられました…。
ここでおさらいです。呼吸性移動とエアリークとは、チェストドレーンバックの青い水の部屋(水封部)を見るのでしたね。それぞれがあるかないかで、4通りの組み合わせが考えられます。それぞれ、どういう状態を表すか、すぐに答えられるようにしておきましょう。
呼吸性移動+ エアリーク−
呼吸性移動+ エアリーク+
呼吸性移動− エアリーク−
呼吸性移動− エアリーク+
本症例では、呼吸性移動− エアリーク−。
撮影した胸部レントゲン写真では、

となっていました。おー…。
さて、どういう状況であると考えられますか。
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私どもの病院で先日あったケースについて先生にご質問があります。
胸水が貯留している状態でドレーンを挿入した際の手技の過程で、胸腔内に空気を吸ってしまうことはありえないのでしょうか?
癌性胸膜炎、胸水貯留の患者さんに対して、胸膜癒着を行うためにドレーン留置を行いました。右側臥位にして左側胸部から左胸腔に留置しました。
処置後のX線写真で左胸腔内にエアを認め、上級医1は『手技中にペアンで穴をあけた後少しドレーンを入れるのに手間取っていたし、大きく吸気してたから吸い込んだんじゃないの?』といい、上級医2は『胸水貯留をしている胸腔内は陽圧なんだから、空気を吸うはずがない。気胸でしょう。』と言っておりました。
原理的には胸水の貯まった胸腔内は陰圧にならず、手技が滞りなく行われていれば、空気が入ることもないと思います。しかし穴が空いて外界と交通した段階からは、必ずしもそうではなく、深吸気をすれば陰圧にもなるのではないかと思った次第です。
細かい情報がない中で漠然とした質問で申し訳ございません。ご多忙中大変恐縮ですが、先生のご意見をいただけましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。
ペアン、またはドレーンチューブで肺に傷をつけ、肺から空気が漏れるのがいわゆる普通の気胸で、外気胸に対して内気胸ともいいます。
胸水は溢れて来ることはありませんでしたので、先生が仰る通り外気胸だと思います。分かりやすいご説明ありがとうございます。
恥ずかしながら外気胸という言葉を初めて知りましたので、調べてみたいと思います。
ありがとうございました。