初学者の方がCTの結果を見て思うのが、「なんか同じ様なのが何種類もあるんじゃないの?どう違うの?どれを見ればいいの?」ということでしょう。
パッと見白っぽかったり、黒っぽかったり、黒っぽいのも何種類かあったりすると、もう混乱してしまい、それだけでイヤになるかもしれませんので、イヤにならないよう、解説したいと思います。
まずパッと見の色合い(白っぽいか、黒っぽいか)は、「条件」と言います。
この「条件」とは、撮影、というよりも現像?にあたっての条件(最近はフィルムレスなので、画像の出力条件、とでも言いましょうか)で、よりどの部分に焦点を当てるか、どの構造物を見やすくするか、という観点から、何種類かの条件があるわけです。
まあ、肺のCTを撮る場合には、「肺野条件」と「縦隔条件」が代表的です。
最も普通に見られるのは、「肺野条件」。
全体的に白っぽく、胸部レントゲン写真に近い雰囲気を持っています。まさに肺野をしっかり見るための条件です。というか、この条件は肺野という、密度0.1g/cm3のとても軽い物体に焦点を当てているため、密度が1g/cm3前後の軟部組織や骨を見るには役に立ちません…。

すりガラス影、線状影など、肺野にある陰影がきちんと見えますね。この条件では肺野だけを見ていきましょう。
次に、骨、軟部陰影を見るための条件が「縦隔条件」。
もちろん縦隔内の構造物もよく見えますが、縦隔だけでなく肺野の外にある、骨、筋肉、脂肪、石灰化など、肺に比べて随分高い密度の構造物(1g/cm3前後)を区別するための条件なのです。

全体的に黒っぽく見え、肺野は何のことやらわかりません。それが正解。肺野以外の骨、筋肉、脂肪の違いはおわかりでしょうか。明日以降説明します。
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