2012年08月03日

胸部CT道場4・造影CT・動脈相と静脈相

実質臓器、筋肉、水は同じような密度であり、いずれも縦隔条件でグレーに見えます。血管内の血液も、体腔液も基本的には同じです。そして腫瘤形成病変も、密度が水に近いため、やはり同じような濃度に見えるのです。


そのため、特に腫瘍性病変の評価をしようかというときには、輝度が高く移る物質を含む「造影剤」を注射して、血管(血液)と実質を区別したり、そのエリアが造影されるかどうかを確認したりする必要があるのです。


で、その造影CTなのですが、撮影するタイミングなどによっていくつか写り方の違いがあり、混乱の元になっています。まあ、MRIほど多くはないのでアレですが、とりあえずは代表的な2つを押さえておきたいものです。


まあ、用語、定義的には施設、設備、医師、技師間でいささかブレはあるかもしれませんが、本質的には上に書いたとおり、@血管(血液)と実質を区別するためのタイミング(動脈相)と、A毛細血管が造影されるタイミング(静脈相)があります。



@まず造影剤をプシューッといれてすぐのタイミングでは、入れた方の手からの静脈、上大静脈、右房、右室から肺動静脈、それに左房左室と大動脈から大きな動脈あたりまでの血管内に濃厚な造影剤が流れ込みます。


このタイミングを動脈相と言っておきましょう。


動脈相では、上述の太い血管内に濃厚な造影剤が満たされ、CTで白く光って見えます。


CT動脈相.jpg


胸部CTにおいて、動脈相で見るべきは縦隔・肺門リンパ節です。縦隔条件の造影なしでは縦隔を走る大血管と縦隔リンパ節の区別がしばしば困難でありますが、動脈相では血管が真っ白に見え、リンパ節はグレー(黄矢印)ですから、ハッキリ区別できるのです。



A次に、造影剤を注入してしばらく経過した後のタイミングでは、体循環の毛細血管レベルまで造影剤が巡ります。このタイミングを静脈相としましょう。


実質臓器がそれなりに白く造影されますが、腫瘍や転移巣など、血管が豊富な箇所では造影効果が高くなり(造影剤がより多く流れ)、より白く見えます。


また、腫瘍内部の壊死した部分は血管もなく、造影されないため黒く「抜けた」ように見えます。


CT静脈相.jpg


黄矢印部分のように周囲が白く造影され、内側が黒く抜けた部分は、中心に壊死を伴う腫瘤の可能性を考えます。


このあたりのことを知っておいて頂くと、CTを見たときに「どれを見たらいいんだろう」と右往左往されることは減るだろうと思います。


胸部CT道場に入門する

トップページへ

posted by 長尾大志 at 16:06 | Comment(1) | 胸部CT道場
この記事へのコメント
はじめてコメントさせていただきます。
いま獣医学部5年生なのですが、卒業論文として、肺腫瘍における造影をテーマにしようと思っています。
もしよければ先生が行っている、造影剤のヨード濃度、撮影タイミング、注入速度など参考としてお聞きしたいのですが。。。
Posted by 洋 at 2013年10月12日 16:50
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。