胸部CTの基本も終わり、一段落ついたところで、先日えのむらさんからご質問のあった、アシドーシスとアルカローシスについて、取り上げてみます。
実はこの領域に踏み出すのは、いささか勇気が必要でした。
滋賀医大の関係者では名前を知らない人はいないであろう、東近江総合医療センター(国立滋賀病院)内科のS先生がこの分野に大変お詳しいわけですが、なんとそのS先生が、このブログを読まれているのです。
それで、内容に関してコメントを頂いたりもするのですが、やはりすごく勉強しておられるのです。付け焼き刃の私とは、深みが違う。
そういうことで、正直、何となく、無意識に、この内容は避けて通ってきた、そんな感じなのですが。やはり、よくわからなくて困っている方々も多いだろう、と思い直しまして、取り上げるに至りました次第です。
ともかく初歩的なところを、しっかりわかりやすく、を合い言葉に開始いたします…。
さて、pHの正常範囲は、7.350〜7.450、つまり、7.400±0.050という、ものすごーく狭い範囲です。
化学の実験をやったことのある方ならおわかりでしょうが、試薬を1滴多く垂らしても、pHはすぐに大きくずれてしまう。そんな微妙〜な、繊細なモノなのです。人間の(生物の)身体は。
pHが低い=血液が酸性であるということ。これをアシデミア(酸:acid)といい、体液のpHがアシデミアに向かっている状態をアシドーシスといいます。
逆に、pHが高い=血液がアルカリ性であるということで、アルカレミアといい、体液のpHがアルカレミアに向かっている状態を、アルカローシスといいます。
pHを決めるのは、主に肺と腎臓です。他にも色々な要素があるわけですが、初心者の方は、まずはこの2つの臓器に注目しましょう。
肺はCO2(酸性物質)の量を変え、腎臓はHCO3-(アルカリ性物質)の値を変えることでpHに影響するのです。
酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシスを最初から読む
2012年08月05日
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