血ガスを採ったら、まずpHを見る。
pH<7.350のアシデミアであった場合、PaCO2とHCO3-を確認して、ナゼアシデミアであるかを考えます。アシデミアはアシドーシスの結果起こることですから、呼吸性アシドーシスなのか、代謝性アシドーシスなのかを評価しましょう。
正常値は、
PaCO2:35〜45mmHg
HCO3-:22〜26mEq/L。
アシデミアがあってPaCO2>40mmHgであれば、CO2が異常に貯まった結果、血液が酸性方向に移動する、呼吸性アシドーシスである、といえます。
(一方、HCO3-<22 mEq/Lであれば、HCO3-が異常に減ることで血液が酸性方向に移動する、代謝性アシドーシスである、といえるのです)。
アシドーシスとなりますと、代償機構が働きます。呼吸性アシドーシスになりますと、腎臓はHCO3-を増加させることで、血液pHを正常に戻そうとするわけです(腎臓による代償)。
ですから呼吸性アシドーシスの時は、HCO3-は増加傾向になるわけですが、代謝性の代償は腎臓におけるHCO3-の再吸収、排泄の調節によって行われますから、数日間かかるといわれています。つまり、呼吸性アシドーシスに成り立てホヤホヤの時は、代償はまだ働かない状態である、といえます。
ということで、呼吸性アシドーシスの場合、つまり、pH<7.350で、かつPaCO2>45の場合は、次のように考えます。
HCO3->26と増加が見られたら、それは正しく代償されている、ということになります。
PaCO2>45なのにHCO3-≒24、つまり、HCO3-が増加に転じていないということは、まだ代償が完成していないタイミングである、ということになります。つまり、呼吸性アシドーシスの急性期であると考えられます。
すなわち、pH<7.350で、
PaCO2>45 HCO3≒24→急性呼吸性アシドーシス
PaCO2>45 HCO3>26→呼吸性アシドーシスが代謝性に代償されている
と考えられます。
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2012年08月08日
酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシス4・pH<7.350のアシデミアを見たら・呼吸性アシドーシス
posted by 長尾大志 at 23:01
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| 酸塩基平衡〜アシドーシス・アルカローシス
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