一方代謝性アシドーシスになりますと、肺は過換気となってCO2(酸性物質)を排出することで、血液pHを正常に戻そうとするわけです(肺による代償)。こちらは比較的速やかに開始され、24時間程度で成立すると言われています。
むむ、待てよ、どちらにせよ代償されたんだったら、アシデミアじゃなくなるんじゃないの?と思ったアナタ、鋭いですね。
代償されてpH7.400付近に戻ればそれはアシデミアではありません。つまり、アシドーシスはあるが、きちんと代償されているということです。その程度であれば、治療は不要であります。
アシドーシスの結果、代償機構に打ち勝ってアシデミアになるほどの強いアシドーシスの場合、治療が必要となります。原因によって治療が異なるわけですから、しっかりと評価しなければなりません。
アシデミアとアシドーシスは違う。pH<7.350を見ると「アシデミア」でなくて「アシドーシス」と言っちゃっているのは、病態としてのアシドーシスに対して治療が必要なので、そちらを取り上げているわけです。結果としてなったアシデミアよりも、より病態を重視した姿勢である、といえるでしょう。
…ということまでわかった上で、pH<7.350をみたら、自信をもって「アシドーシス」と言いましょう。何となくアシドーシス、ではなく。
もう一度まとめておきますと、pH<7.350で、
- PaCO2>40 HCO3≦24→急性呼吸性アシドーシス
- PaCO2>40 HCO3>24→呼吸性アシドーシスが代謝性に代償されている時期
- HCO3<24 PaCO2≦40→急性代謝性アシドーシス
- HCO3<24 PaCO2<<40→代謝性アシドーシスが呼吸性に代償された時期
と考えられます。
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